アカデミー賞授賞式、ジョン・シナ全裸の舞台裏 ─ 演出陣もヒヤヒヤ、「彼がカードを落としてしまったらどうするんだ?」

第96回アカデミー賞授賞式では、失敗の許されないハイリスクな演出が無事成功し、会場に大爆笑をうみだした。衣装デザイン賞の発表時、レスラー・俳優のジョン・シナが発表用のカードで股間を隠しながら“全裸”で登場したのだ。
シナの全裸演出は、1974年の第46回アカデミー賞授賞式で起きた、プレゼンターのトーク中に舞台裏から全裸の男がステージ上を駆け抜けるという珍事件をトリビュートしたもの。あわよくば放送事故となってしまうギリギリの演出の裏では、プロデューサー陣が入念な対策を講じていた。
式全体のプロデューサーを担ったのは、ホストを務めたジミー・キンメルのトーク番組『ジミー・キンメル・ライブ!』で製作総指揮を務めるモリー・マクネアニ。米Varietyでは授賞式での演出をめぐる、マクネアニらプロデュース側とコンプライアンス対策チームのやり取りが紹介されている。
放送を担当した米ABCのロブ・ミルズによれば、シナの演出をめぐって対策チームが要求したのはどう見ても裸ではないと見えるようにすることだったという。「FCC※からの罰金だけではなく、苦情の可能性もありました」とミルズは振り返る。
※FCC…米テレビ放送の規制監督を行う独立機関
「ちょっとした豆知識を教えましょう」と語るミルズによれば、股間の膨らみや尻の割れ目が映った時点でアウトだという。「もし彼がカードを落としてしまったらどうするんだ?」という懸念もあったため、演出陣は「全ての意図と目的を確認するようにした」そう。「正面から見たら(シナが)ケン人形に見えるようにしましたし、尻の割れ目も後ろで覆っていました。封筒も落ちないようにマジックテープをつけましたね。でもそれ以外、彼は裸でしたよ」。

式が無事閉幕した今、シナの“全裸”パフォーマンスは間違いなく第96回授賞式のハイライトとなった。プロデューサー陣にも自信があったのか、シナのパフォーマンスはサプライズにしたいという思いがあったそうで、リハーサルは閉ざされた空間で行われていたとか。
対策チームの幹部が「汗ばんでいた」と振り返るマクネアニは、「最終的に双方にとって心地よい着地点を見つけることができたと思います」と語っている。「笑いは妥協しませんでした。白ブリーフで彼を送り出さずに済んで感謝です。リーガルチームはそちらを好んだでしょうけど」。

ちなみにネットでは、シナが本当に裸だったのではないかという声があがっているようだ。これについて、マクネアニは「それこそ私が望んでいたものです」と語っている。
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Source:Variety