『エターナルズ』クロエ・ジャオ、ビンセント・チン殺害事件に迫る作品で製作総指揮へ

ビンセント・チン殺害事件と、彼の死後に起きた連邦公民権訴訟を題材にしたリミテッドシリーズが、パーティシパント・メディアにて企画進行中であることがわかった。『ノマドランド』(2020)『エターナルズ』(2021)などのクロエ・ジャオが製作総指揮として就任。Deadlineが報じている。
1982年6月、中国系米国人で自動車部品メーカーのエンジニアであったビンセント・チン氏は、自動車産業の仕事に従事していた白人ふたりによって殺害された。これは日米自動車摩擦が激化した時代に起きた事件。オイルショックも相まって自動車労働者の失業者が増加し、日本人に対する不穏な空気が流れる中、ビンセント氏のことを日本人と勘違いした自動車労働者ふたりが彼を非難した上で暴行を加えた。ビンセント氏は4日後に死亡。ビンセント氏の死亡が確認された日は、彼が結婚する4日前だった。
ビンセント氏を殺害した犯人は逮捕され裁判にかけられるも、執行猶予と罰金という軽い判決が下された。人種差別による殺害事件は大きな社会問題として瞬く間に全米に広がり、アジア系米国人が権利を主張する運動を起こし、連邦公民権訴訟へと発展したのである。
このたびのリミテッドシリーズは、ビンセント氏の遺族をはじめ、彼の遺産管理人であり、ジャーナリストであるヘレン・ジアとの独占取材を通じて製作される作品。コロナ禍によるアジア人への差別が深刻化する現在、本作は極めて重要な作品となりそうだ。
エグゼクティブ・プロデューサーのクロエ・ジャオは本作について、「ヘレンがビンセントの物語と個人的な繋がりを持っていることや、この辛く奮起させる物語に対する素晴らしい洞察力、ほかとは少し異なる視点を兼ね備えていることに深く感動しました。チームに参加して、この旅に一緒に出られることをとても光栄に思います」と述べている。
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Source: Deadline