【インタビュー】「glee/グリー」サム役コード・オーバーストリートが語るミュージシャンとしての成長と価値観 ─ 「日本が大好きなのでツアーに行きたい」

──日常的には、どうやって曲を作っていますか?曲作りの頻度もお聞きしたいです。
全てが上手くいくわけじゃないですけど、1日1曲くらいですかね。今座ってる(自宅の)スタジオで毎日曲を書くわけじゃないですけど、無計画で仕事を始めて、適当に(ギターを持って即興で歌いながら)こんな感じで歌ってみて、何か思い浮かべば良いかなって感じで取り組んでいます。音楽って不思議なもので、“今日はこれをやるぞ”とか“これを書くぞ”っていう風には出来なくて、何も無いところから出てくるものなんです。だから、1日に1回スタジオに来て、何か浮かぶか確かめるようにはしてます。
──ところで、あなたの後ろにたくさんギターが見えますが、何本くらい持ってるんですか?
(実際に立ち上がって数えながら)ここにあるだけで、15本くらい持ってますよ。
──たくさん持ってるんですね。
でしょ?どのギターも出す音色が様々だから集め始めたんですよ。それで夢中になってしまって。いろんなギターの音で個性的なものを生み出せるかどうか試してます。
──家の中にスタジオがあるんですね。
そうなんです。ただの部屋ですけど、目の前のコンピューターとインターフェース、スピーカー、マイクを使ってレコーディングしてます。今は家で何でもやっていますね。けど、いつもはプロデューサーとか作詞家の人たちと一緒に誰かの家で仕事をしてます。ここ(家)からでも何でもできちゃいますよ!
──アイデアが浮かぶタイミングはどんな時ですか?
ランダムに浮かんできます。だからスマホを持って、まずタイトルを書き留めるかな。最近書いた「What You Need」という曲は、実際にセッションする一週間くらい前にタイトルをスマホの中にメモしていて、他にも良いやつとかバカげたやつとかもたくさんあって。めちゃくちゃ悪いやつもありました。そんな感じで曲作りを進めていて、“これは好きだわ”とか、”曲全体のメッセージが良いね”という風に思いながら、それから自分の実体験を、最初から終わりまでを伝えるにはどうしようかと考えています。何気なくハミングしたり、歌ったりして(曲に)物語を加えるようにしています。
──ネガティブな曲を書いている時、感情を抑え切れなかったりした時はどうしているんでしょうか?
胸が張り裂けそうな曲や悲しい曲に取り組んでいる時は、向かう場所はいくつかあります。自分を傷つけたりエモーショナルな気持ちにさせたりする物語を引き出せる場所に行って、そこで当時に戻るんです。悲しくなってきたらスタジオで今の自分の感情を弾いたり、歌ったりすることで(アイデアを)引き出すみたいな。ちょっとネガティブなセラピーみたいですけど。少し落ち込んだ時に曲を書き始めて音楽にするみたいなことはありますね。
──あなたが発表する曲のタイトルには、あなた自身の想いが詰まってるように感じられますが、どうやってタイトル決めをしているのでしょうか?
「Homeland」(2016年発表のファーストシングル)は、ホームシックになっていたある日に曲を書いてたら浮かんできたんです。自分が育ってきた場所とか、7歳か8歳の頃に父親がトラックの乗り方を教えてくれた時の事とかを思い出していて。クリスマスに(街に)帰ってきた時に、僕が生まれた時から何からまでが全部思い出されて、すごく新鮮に感じられたんです。昔のゴーストタウンみたいで。(街に対する)感謝の気持ちとかもまだ持っていたんですけど、何だか不思議なノスタルジーみたいなのがあって、何もかもが儚く感じられたんです。僕が生まれて育った頃は、全く新しい街だったのに、今じゃ何も残っていなくて。それで、何かを創り上げるより、曲を書く方が簡単だなと思ったんです。何か個人的な繋がりがあれば、何も無いところから生まれてくるんです。
「Man On the Moon」は、ある時、僕が恋していた女性との関係を続けていた頃の曲です。彼女は、“私も同じ気持ちを持ってるよ”と言ってくれて、僕を同じような気持ちにさせてくれたんです。それで、僕が彼女に会いに行ったら彼女はどこにもいなくて。“僕たちは違う星にいるんだ”と感じたんです。その時に「Man on the Moon」が浮かんできました。
「What You Need」も似たようなもので。ある人に何もかも尽くしたいと思っていた時がありました。けど、不健全で依存しているような関係にある時は、何をしてもどんなに自分を犠牲にしても、その人を満足させることは出来ないんです。この曲は、“どんなにその人が僕を傷つけても、幸せにするためなら僕は何でもする”という、誰もが経験するような依存関係を歌った曲なんです。