【インタビュー】「glee/グリー」サム役コード・オーバーストリートが語るミュージシャンとしての成長と価値観 ─ 「日本が大好きなのでツアーに行きたい」

──ご自身の実体験に基づいて曲を作っているんですね。
そうするようにしてます。(実体験に基づいた)曲は僕にとって日記を書くみたいに、感情を抱いてた当時の事とか場所へ連れて行ってくれるんです。僕も、タイムカプセルみたいに“この時に戻るぞ”という風に曲を書いていたので、嫌にならないんです。ただただ書くために作った曲よりも、こういう曲を聴いている時は背景にある感情がとても分かりやすいんです。
──作る曲それぞれが違ったテイストに感じられますが、実験的なアプローチで曲作りしているのでしょうか?
その通りです。僕の場合、曲を作り終わるまでどうなるか分からないんです。最初は、“これ良い感じ”とか“この音良いね”という風に始めて、そういう感情や感覚で音楽的に理解できるような物語があるか考えます。大体は上手くいかないんですけどね。上手くいった時は、音楽と曲のエネルギーを得られるんです。僕は予測出来ないようないろんなことをするのが大好きで、自分でもどうなるか分からないですし、何でも出来ちゃうから音楽のエンターテインメント性が大好きなんです。
偉大なミュージシャンたちや故郷、家族から影響を受けた音楽スタイル
──音楽の聖地テネシー州ナッシュビルで生まれ育ったことや音楽一家の環境は、少なからず影響はあったのでしょうか?
その通りですね。ナッシュビルという音楽都市で育って、友人のお父さんから自分の父親、父親の友人まで、みんな音楽をやっていました。だから、もしギターの選び方や弾き方が分からなかったりしたら、仲間外れみたいなもので。幼い頃から、父親が音楽をやっているのを近くで見ていたことを今になって考えると、“これが自分の知っていることだし、大好きなことだから、僕も将来やることになるんだ”と思うのも納得でした。多くの子ども達は親から才能や性格特性、エネルギーなど、多くのことを学ぶんです。特にエネルギーって母親や父親からしか得ることの出来ないものです。自分はこういう人間なので、それを否定することは結構きついですね。もし医者や弁護士の両親の家庭で育っていたらそういう風に育っていたでしょうし、それしか知らなかったと思いますよ。
──“コード(Chord)”というお名前は音楽に関係する意味を持っていますよね。お父様もそれにちなんで名付けたのでしょうか?
そうなんです。“ハーモニー”っていう名前の妹もいて。僕は3番目に生まれて、主要三和音(スリーコード)にちなんで、“コード”と名付けられました。妹のハーモニーは4番目に生まれて、四部合唱(4つの音色を持つハーモニー)にちなんで、そう名付けられたんです。
──ミュージシャンになるべくして生まれてきたんですね。
そうですね。それか、前から決められていたのかも。もし僕が医者になってたら、意味が無かったでしょうね。あ、でも「ドクター・コード」ってバンド名はかなりイカしてるかもしれないです(笑)。
──ボブ・ディランやエルヴィス・プレスリー、ザ・ビーチ・ボーイズなどに影響を受けたと聞きましたが、彼らのどのようなところにインスパイアされたのでしょう?
ボブ・ディランは偉大な語り手です。彼は誰もが経験する似たような事について、誰よりも具体的で違ったレンズを通して物語を伝えてくれるんです。彼は、まるでこれまでに出くわしたことのないような、初めて体験したのような物語に塗り替えてしまうんです。
エルヴィスは、子どもの頃に夢中になった最初のアーティストなんです。だって、彼は根っからのエンターテイナーだったから。彼は自分で曲を書かなかったけど、最高の曲を歌って、自分らしいことをして世界中の人を魅了したんです。とてもカッコいいです。
ビーチ・ボーイズは、音楽を学びに大学に通うようなものですね。ブライアン・ウィルソンはクリエイティブで素晴らしい作曲家の1人ですし、彼らの奏でるハーモニーは素晴らしくて、全てが最高な音に感じましたね。ビーチ・ボーイズがやることは全部が実験的で、他の人が挑戦するずっと前から変わったことに挑戦していました。彼らの持ってる精神みたいなものは、今でも唯一無二です。
オルタナティブ・ポップアーティストとして「日本でまた歌いたい」
──あなたが今取り組んでいるオルタナティブ・ポッププロジェクトOVERSTREETについて話しましょう。オルタナティブ・ポップというジャンルを意識することはありますか?それとも、自然と浮かんだアイデアをそのまま作ったら、そのようなジャンルになったんですか?
それとはまたちょっと違うんです。僕はある事に対して感情的になる段階を通って、そこにあるネガティブなエネルギーとか感情だとかを取り除いて、楽しいことや良いことだけに集中したいと思う瞬間があるんです。ダンスとかドライブとか、すぐに自分が幸せになれるものとかですね。そういうものが、オルタナティブ・ポップの世界にぴったりなエネルギーを持っているんです。