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世界の映画業界、コロナ禍で3兆円の損失か ─ 米最大の映画館は7月営業再開、観客定員や消毒作業を徹底へ

AMC Theatre
Photo: Andreas Praefcke https://en.wikipedia.org/wiki/File:AMC_Empire_25_NYC.jpg

あらゆる業界が新型コロナウイルスの感染拡大によって危機に立たされている今、映画業界も重大な局面にある。イギリスの調査企業Omdiaによると、世界の映画業界は200~310億ドルの損失を受ける可能性があるというのだ。日本円に換算すると、およそ2.1兆~3.3兆円。いかに甚大な影響が生じているか、もはや想像だにしえない金額というべきだろう。

2019年、映画の世界興行収入は累計420億ドルだった。ところがOmdiaのデヴィッド・ハンコック氏によると、2020年の世界興収は、6月中旬の時点で昨年比7割減という状況。“200~310億ドルの損失”との予測は、ここからの巻き返しも踏まえて算出されたものだ。映画会社や映画館は再始動に向けての道筋を計画しているが、3月~7月はほぼすべての新作映画が公開延期となっており、そのダメージはあまりにも大きかった。

そんな中、米国最大の映画館チェーン「AMC」も営業再開に向けてのガイドラインを発表した。同社は4ヶ月にわたる休業を経て、7月15日(米国時間)から約150館の営業を再開する予定。7月24日米国公開予定の実写版『ムーラン』、翌31日公開のクリストファー・ノーラン最新作『TENET テネット』を迎える形だ。

AMCは営業再開にあたり、上映ごとの観客定員を4段階に分けて設定する。営業再開直後の「フェイズ1」は通常の30%、その後の「フェイズ2」は40%を予定。9月7日のレイバー・デイ(祝日)までに「フェイズ3」として50%、そして11月26日の感謝祭(祝日)までに100%への完全復帰を目指す計画だ。しかしながら、計画通りに推移できるかどうかは社会情勢にかかっている。

各劇場では、上映ごとにドアや手すり、座席のボタン、トレイテーブルなどの消毒を実施。作業徹底のため、上映の合間には一定の間隔が設けられる。またAMCは消毒スプレーを自動噴霧する設備に巨額を投じており、場内設備や座席には夜中のうちに自動消毒を実施。館内のドアや柱、カウンター、コンセッション、エスカレーター、ベンチ、トイレなどは日常的に消毒が行われ、館内には消毒シート&消毒スプレーを自由に利用できる「衛生エリア」もあちこちに設置される。なお、消毒に使用される製品は米環境保護庁の認可を受けたものに限られるという。

なお、従業員にはマスクの着用を義務付け、勤務ごとに検温を実施(体調不良の場合にも補償が用意される)。来場者にもマスクの着用を強く推奨し、営業する映画館では1ドルでマスクの販売も行われる。チケットはオンラインでの購入が推奨されているが、劇場での購入時は、対面ではなく機械での購入になるという。

今後、AMCのみならず、世界各国の映画館が再起動に向けて歩みを進めていくことになる。Omdiaのハンコック氏は「人々には映画館が必要であり、映画には映画館が必要であり、社会には映画館が必要」だと訴えながら、映画業界の復活には「“安心”こそが重要」だと述べた。

「本質的に、映画館とは社会的な空間です。ある体験を共有するために人々が家を出るわけですから。批評家は見落としがちですが、この未曾有の状況においては、映画館の強みが弱みになっています。今は、フィジカル・ディスタンス(物理的距離)がソーシャル・ディスタンス(社会的距離)と名指され、社会的であることは脅威だと理解されている。人々は、社会的な空間が安全なのだという確信を求めているのです。」

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Source: Variety, Deadline

Writer

稲垣 貴俊
稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

THE RIVER編集部。「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。劇場用プログラムや各種媒体への寄稿なども喜んで承りますので、お気軽にお尋ねください。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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