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『アベンジャーズ』ルッソ兄弟の新作に巨大トラブル勃発、撮影後に監督&脚本家らが一斉降板

アンソニー&ジョー・ルッソ
Photo by Gage Skidmore https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Anthony_and_Joe_Russo_by_Gage_Skidmore.jpg

『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)監督のアンソニー&ジョー・ルッソが製作総指揮を務める、Amazonの大作ドラマ「シタデル(原題:Citadel)」に大規模な製作トラブルが発生していることがわかった。本撮影の終了後にルッソ兄弟とスタッフ陣が対立し、監督・脚本家ら創作面の中心人物が一斉に降板したという。米The Hollywood Reporterが報じている。

「シタデル」は世界各国から集まったスパイたちが大型ミッションに挑む「『アベンジャーズ』スタイルのスパイ・シリーズ」。リチャード・マッデンやプリヤンカー・チョープラーが出演するアメリカ版を皮切りに、インドやイタリア、メキシコでスピンオフ作品を展開する構想で、脚本・製作総指揮には『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』(2011)のジョシュ・アッペルバウム&アンドレ・ネメックらが参加していた。

報道によると、アメリカ版の本撮影は2021年の大半を費やして実施されたが、当時のルッソ兄弟は監督作『グレイマン』(2022)のために本作から距離を置いていたという。トラブルの発端となったのは、そんな中でAmazonのチームが制作中の映像に不安を抱き、ルッソ兄弟を急遽呼び戻したこと。これが創作上の対立を招き、ルッソ兄弟による編集版と、脚本のアッペルバウム&ネメックによる編集版の2バージョンが作られることになった。数週間後、製作チームのメンバーは“ジョー・ルッソ派”と“ジョシュ・アッペルバウム派”に分裂したと伝えられている。

関係者によると、アッペルバウム版はスキーやハンググライダーを駆使した壮大なアクションシーンを通じて登場人物を紹介し、スパイ同士の対立を準備してから、過去の記憶を持たない主人公たちの“5年後”を見せる構成。その一方、ルッソ版は“5年後”を軸として、アクションシーンをカットする構成だったとされる。

結果的にAmazonは、2021年の年末に「ルッソ兄弟に賭ける方を選択した」とのこと。その後、アッペルバウムをはじめ、『21ブリッジ』(2019)や「ゲーム・オブ・スローンズ」などで知られるブライアン・カーク監督、ラインプロデューサーのサラ・ブラッドショウらスタッフ陣が降板に至った。正確な人数はわかっていないが、カーク監督は全7話中5話を手がけたキーパーソンだった。

「シタデル」にはアッペルバウム&ネメックのほか、『ヴェノム』(2018)の脚本家スコット・ローゼンバーグ&ジェフ・ピンクナーも参加していた。4人のプロデュース・チームであるMidnight Radioは、ルッソ兄弟の製作会社AGBOとのファーストルック契約を結んでいたが、すでに両者の契約も解消済み。アッペルバウム以外の3名の進退は不明だが、一同が好ましくない関係性にあることは想像に難くない。ある関係者は「ジョーはジョシュに“一緒に作り直そう”と言うべきだった。これはパートナー同士がやることではない」と指摘した。

スタッフの降板後、ルッソ兄弟とAmazonは再撮影を指揮する後任者を雇用。新たな脚本家には「ナチ・ハンターズ」(2021)やApple TV+「インベージョン」(2022)のデヴィッド・ワイル、監督には全7話中2話を手がけたニュートン・トーマス・サイジェルを再び起用した(サイジェルはルッソ兄弟監督作品『チェリー』(2021)などで撮影監督を務めた人物)。再撮影は2022年春から初夏にかけて行われており、ジョー・ルッソ自身も深く関わったと報じられている。

コロナ禍の影響もあり、「シタデル」にはあらかじめ1億6000万ドルもの製作費が投じられていた。さらに再撮影などのため追加予算が計上され、すでに製作費は2億5000万ドル以上にも膨れ上がっているとのこと。これは「ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪」(2022-)の約4億6500万ドル(推定)に続き、テレビシリーズの1シーズンとしては史上2番目の高額作品となる。

ルッソ兄弟は『アベンジャーズ/エンドゲーム』などのマーベル作品を経て、Netflixで『グレイマン』のほか、プロデュース作品『タイラー・レイク ―命の奪還―』(2020)といったヒット作を連発。業界で高い評価を得ているが、「(『シタデル』のトラブルは)浪費家という評判を強めるもの」とも報じられた。『グレイマン』の製作費はNetflix史上最高額の2億5000万ドル、『チェリー』も中規模のドラマ作品ながら大幅な予算超過があった。監督次回作『エレクトリック・ステイト(原題)』も当初はユニバーサル・ピクチャーズで企画されていたが、ルッソ兄弟の“2億ドルでは足りない”という意向をスタジオ側が受け入れられず、企画はNetflixに流れている。

「シタデル(原題:Citadel)」の配信時期は未定。現在はポストプロダクション(撮影後作業)が進行中だという。

Source: The Hollywood Reporter

Writer

稲垣 貴俊
稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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