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『ミッドナイト・スカイ』ジョージ・クルーニー、「ER 緊急救命室」当時から俳優業に疲れていた ─ それでも映画界に残り続けられた理由

ミッドナイト・スカイ
Netflix映画『ミッドナイト・スカイ』独占配信中

『オーシャンズ11』シリーズや『ゼロ・グラビティ』(2013)などで知られるジョージ・クルーニーは、俳優・映画監督として、ハリウッドでも有数の経歴の持つフィルムメーカーだ。しかし、Netflixで配信開始となった最新作ミッドナイト・スカイを控えて、クルーニーは自らが俳優業に疲れていることを明かしていた。ポイントは、その態度が決してネガティブなものではないことである。

米GQのロングインタビューに登場したクルーニーは、俳優としての“疲れ”の兆候を、出世作「ER 緊急救命室」の時点で感じ取っていたと語る。つまりクルーニーは、もうずいぶん長いあいだ俳優業への疲れと付き合ってきたことになるのだ。

「『ER』に出る前から、テレビシリーズにはいくつも出ていたし、パイロット版もたくさんやりました。数えきれないほどのエピソードに出たわけです。『ER』は1シーズンにつき22話だから、映画が1本2時間だとすれば、こっちは1話1時間なので、1年間で映画11本に出たことになります。だから演技面でも、俳優としての決断という意味でも、あらゆる部分が飽和状態に達してしまい、“これもやったしあれもやった、あっちもこっちも挑戦したなあ”という気持ちになってしまって。」

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「ER」出演と並行し、クルーニーは90年代後半にも『フロム・ダスク・ティル・ドーン』(1996)『アウト・オブ・サイト』(1998)などに出演してきた。2000年に「ER」を離れた後は『オーシャンズ11』シリーズや『オー・ブラザー!』(2011)、アカデミー賞に輝いた『シリアナ』(2005)などの代表作に恵まれ、『グッドナイト&グッドラック』(2005)『スーパー・チューズデー 〜正義を売った日〜』(2011)で監督としても評価されている。

充実したフィルモグラフィを、クルーニーはいかにして“疲れ”とともに乗りこなしてきたのか。実は、『ミッドナイト・スカイ』の主人公オーガスティン役や『ラスト・ターゲット』(2010)のジャック役など、気に入っている役柄には“できるだけ頑張らない”という姿勢で臨んだものもあったという。そこには、叔母で歌手のローズマリー・クルーニーからの教えもあった。

「“65歳になっているのに、25歳当時よりも良い歌手でいられるのはどうしてなのか”と彼女に聞いたんです。昔のほうが高音も出たし、息も続いたんじゃないのって。すると、“もう歌えることを証明しなくても良くなったから”だと。曲をもらって、その出来が良ければ歌える、それだけだって。まるで感覚が違うんですよね。[中略]僕にも10~15年間くらいは、“ボンヤリしていられない、俳優としてできることを証明しなきゃ”と思っていた時期がありました。今はありのままで快適ですが、俳優として苦しんでいた頃は、どんな演技ができるのかを証明したかったし、自分の技術を見せたいと思っていた。それが、だんだん“もう証明しなくてもいいや”と思うようになってきたんです。」

クルーニーが苦しんでいた時期がいつ頃なのかは具体的に明かされていないが、ともかく彼は“演じる”ことから自分自身を引きはがしてきたのだろう。やがて、クルーニーは映画業界で俳優以外にできることを模索し、それが監督業への進出につながったという。「この業界は大好きだけど、60歳になってまで、若いキャスティングディレクターやプロデューサーが自分のことをどう思っているのかで思い悩みたくはなかった」とは本人の談だ。

「演技のキャリアとは面白いもので、世界最高の役者を振り返ってみると──僕が好きなのはスペンサー・トレイシーやケイリー・グラントですが──実際のキャリアが20年や15年しかない人もいることに気づきます。25年くらいの人もいますが、僕らが思っているほど長くないんですよ。だから、俳優としての自分のキャリアは自分で絶対にコントロールできないんです。

幸運にも仕事を選べるようになれば、ダメな企画にはノー、良い企画にはイエスと言えるようになります。僕は両方言っているわけですが、それでもだんだん、ただの俳優であることがつまらなくなって……。“つまらない”は違うな。映画の試写を観ていても、“これは最高だ”と言える映画を10本見つけるのは難しい。最高のシーンがある映画はあっても、映画全編となると“これが最高なのか?”と。『フィクサー』(2007)や『オー・ブラザー!』『アウト・オブ・サイト』みたいな映画はそう出てこないですよ。『マイレージ、マイライフ』(2009)『ファミリー・ツリー』(2011)もそうで、数年に一本です。だけど僕はそういう作品に出たいし、退屈なものよりは自分が好きな別の仕事をしたいと思うんですよ。」

Netflix映画『ミッドナイト・スカイ』独占配信中。

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Writer

稲垣 貴俊
稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。外部寄稿に『TENET テネット』『ジョーカー』『シャザム!』『ポラロイド』劇場用プログラム寄稿など。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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