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【ネタバレ】『キャプテン・マーベル』ポストクレジットシーン完全解説 ─ 実現しなかったアイデアも

キャプテン・マーベル
© 2019 MARVEL

マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)初の女性ヒーロー単独映画、『キャプテン・マーベル』が2019年3月15日(金)に日本公開された。11年間にわたる物語の集大成である『アベンジャーズ/エンドゲーム』に先がけての登場となった本作は、新ヒーローのオリジン・ストーリーであるとともに、これまで展開されてきた作品群の前日譚的な側面も兼ね備えている。

本記事では、そんな『キャプテン・マーベル』を締めくくったポストクレジットシーンについて解説していく。

この記事には、映画『キャプテン・マーベル』の重大なネタバレが含まれています。必ずご鑑賞後にお読みください。

キャプテン・マーベル
ⒸMarvel Studios 2018

『アベンジャーズ/エンドゲーム』に直結

『キャプテン・マーベル』に用意されたひとつめのポストクレジットシーンは、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)と『アベンジャーズ/エンドゲーム』を直接的に繋ぐものとなっている。

『インフィニティ・ウォー』のポストクレジットシーンで、ニック・フューリーは異常事態を察知し、キャプテン・マーベルのカラーリングが施されたポケベルを作動させる。しかしポケベルの応答を待たずに、フューリーは塵となって消えてしまった。このポケベルは、『キャプテン・マーベル』のラストに登場したのと同じもの。フューリーの愛用していたポケベルは改造され、キャロル・ダンヴァース/キャプテン・マーベルが遠く離れた宇宙にいても通信が届く仕様となったのだ。

ところが、どうやらフューリーによる呼び出しはキャロルにすぐ届いたわけではなかったようである。『キャプテン・マーベル』のポストクレジットシーンでは、ワカンダでサノスに敗れたスティーブ・ロジャース/キャプテン・アメリカ、ナターシャ・ロマノフ/ブラック・ウィドウ、ブルース・バナー/ハルク、ジェームズ・“ローディ”・ローズ/ウォーマシンがアベンジャーズ基地にいる様子が映し出される。絶望的状況に立たされた彼らは、発見されたフューリーのポケベルを作動させ続け、応答を待っているのだ。

しかし電力を供給し続けているにもかかわらず、ポケベルの動作は突如止まってしまう。一同が困惑する中、ナターシャは「向こう側に誰がいるのかを知りたい」と一言。しかし彼女が振り返ると、そこにはキャロル・ダンヴァースが立っていた。「フューリーはどこ?」。キャプテン・マーベルは呼び出しに応え、ついに地球に帰ってきたのである。

監督はアンソニー&ジョー・ルッソ

Entertainment Weeklyにマーベル・スタジオのケヴィン・ファイギ社長が明かしたところによると、このシーンは『アベンジャーズ/エンドゲーム』の撮影中、同作を手がけるアンソニー&ジョー・ルッソ監督によって撮影されたものだという。また『キャプテン・マーベル』のアンナ・ボーデン監督いわく、このシーンは『エンドゲーム』に直接つながっており、アイデアはルッソ監督から持ち込まれたとのこと。アンナ&ライアン・フレック監督は、この提案を快く受け入れたという。

ちなみにケヴィン社長によれば、「『インフィニティ・ウォー』での呼び出しに、『キャプテン・マーベル』で驚くべき方法、予想外の方法をもって応える」という計画は常に存在したものだったとか。「新しいキャラクターを登場させると、既存のキャラクターとのかかわりを見ることへの期待が生まれる。素晴らしいことですよね」。

『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』キャプテン・アメリカ(クリス・エヴァンス)
『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』© Walt Disney Studios Motion Pictures 写真:ゼータイメージ

ポストクレジットシーンに登場するスティーブは、『エンドゲーム』の予告編とは異なり、『インフィニティ・ウォー』と同じくヒゲをたくわえている。すなわち、このシーンが『エンドゲーム』本編に組み込まれているとすれば、これはおそらく映画の序盤部分であろう。しかし『ブラックパンサー』(2018)のポストクレジットシーン、バッキー・バーンズがワカンダで目覚める場面は『インフィニティ・ウォー』に存在しなかった。キャプテン・マーベルが地球に到着するシーンが『エンドゲーム』で割愛されている可能性もゼロではないのだ。

ところで『エンドゲーム』において、キャプテン・マーベルはスーツのデザインを刷新し、メイクもやや変えて登場することになりそうだ。サノスを相手にキャプテン・マーベルがどう戦うのか、ほかのヒーローとはどんな関わり方になるのか、すべては『エンドゲーム』を楽しみにしておこう。

猫のグース/フラーケン、四次元キューブを吐く

もうひとつのポストクレジットシーンは、『キャプテン・マーベル』において“影のMVP”といっていい猫のグースにまつわる場面だ。映画の終盤、マー=ベルのラボにて四次元キューブ(テッセラクト)を飲み込んだグース/フラーケンは、その後も体内に四次元キューブを保持したまま本編を終える。ニック・フューリーの自室でくつろいでいたグースは、ポストクレジットシーンにおいて、フューリーのデスクの上で(さながら毛玉のように)四次元キューブを吐き出すのである。

『キャプテン・マーベル』において、ひとまず四次元キューブ/スペース・ストーンの歴史には新たなるページが書き加えられたことになる。『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』(2011)で北極に落ちたキューブはマー=ベルの手に渡り、グースの体内に入ってS.H.I.E.L.D.に持ち込まれた。その後、『マイティ・ソー』(2011)のポストクレジットシーンでフューリーがエリック・セルヴィグ博士に見せるまで、キューブはどこかに長らく保管されたままだったのである。

気になるのは、猫のグースがその後どうなったのかという問題だろう。平均的な猫の寿命を全うしてこの世を去ったのか、それともフラーケンゆえに異様に長生きし、今でもS.H.I.E.L.D.やフューリーの近くを悠々と散歩しているのか。もし生きているとしたら、サノスの指パッチンを生き延びられたのかどうか…?

実現しなかったヨン・ロッグのポストクレジットシーン

ところでライアン・フレック監督は、実現しなかったポストクレジットシーンのアイデアがあったことを明かしている。本編でキャロルにあっさりと敗れ、宇宙船に乗って送り返されたヨン・ロッグが、なぜか『マイティ・ソー バトルロイヤル』(2017)に登場した惑星サカールに到着してしまい、あたりを見回して「ここはどこだ?」と呆然とする、というアイデアが存在したというのだ。実現していたとすれば、こちらは猫のグースに代わるポストクレジットシーンになっていたことだろう。

映画『キャプテン・マーベル』は2019年3月15日(金)より全国公開中。

『キャプテン・マーベル』公式サイト:https://marvel.disney.co.jp/movie/captain-marvel.html

Sources: Collider, EW, Comicbook.com, SR, Empire

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。