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『リメンバー・ミー』オープニングに別案あった ― 未公開「死者の日」ミュージカルシーン

リメンバー・ミー
© 2022 Disney/Pixar

ディズニー&ピクサーによるアニメーション映画『リメンバー・ミー』(2017)。メキシコにおける祝日のひとつ「死者の日」をモチーフに、死者の国と生者の国を舞台としたこの映画は、巧みなストーリーと映像表現、メキシコ文化への敬意ある表現が高く評価され、第90回(2018年)アカデミー賞にて長編アニメ映画賞と歌曲賞を受賞した。

2018年2月、米USA Today誌では本作の別オープニング・シーンが公開されている。映画本編では主人公ミゲルと家族に焦点が当てられていたオープニングは、当初、死者の日を描くミュージカル・シーンとして構想されていたというのだ。スケッチやコンセプトアートによる、未公開シーンの映像をぜひご覧いただきたい。

注意

以下の内容には、映画『リメンバー・ミー』の内容に関する言及が含まれています。

『リメンバー・ミー』冒頭シーン、なぜ変更されたのか?

『リメンバー・ミー』で共同監督を務めたエイドリアン・モリーナ氏によると、このシーンは長い時間、数年にわたってオープニングとして検討されていたという。死者の日の、人間の死を悼み悲しむのではなく、その生を祝するという特徴を歌ったコーラスからもわかるように、まずはこの盛大な祝祭についてを冒頭で語るという意図があったようだ。

CinemaBlendにて、リー・アンクリッチ監督はオープニングシーンを変更した理由をこう語っている。

「長い間、(完成版とは)別の方法で映画を始めていたんです。劇場のステージを舞台に、ミュージカル・ナンバーを用意したこともありました。死者の日についてのショーですね。死者の日を知らないみなさんに、それがどういうものかを伝えたい、楽しく教えたいと思ったんです。[中略]ただし、ミゲルが登場して物語が始まるまでが長すぎた。そこで(完成版の)方法にしようと決めたんです。映画の一番最初に、彼のバックストーリーや声をもってこようと。これで、彼の背景をあとからすべて語らなくても良くなりました。」

すなわちオープニングが変更された理由は、死者の日についての説明を重複させないためではなく、ストーリーテリングのリズムと配分の問題だったのだ。この削除されたオープニングシーンには、物語・ビジュアルの両面で『リメンバー・ミー』という作品のエッセンスを見ることができる。もしもこのシーンから映画が始まっていたら、私たちの鑑賞体験はどのように変わっていたのか……なんてことを考えるのは、今となっては野暮というものだろうか。

『リメンバー・ミー』はディズニープラスで配信中。
※ディズニープラスは、ディズニーがグローバルで展開する定額制公式動画配信サービスです。

Source: USA Today , CinemaBlend

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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