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実際の怪奇事件に基づく『死霊館 悪魔のせいなら、無罪。』ホラーへの思い、監督に訊く【インタビュー】

死霊館 悪魔のせいなら、無罪。
© 2021 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.

『死霊館』ユニバース最新作『死霊館 悪魔のせいなら、無罪。』が、2021年10月1日より公開となった。本作では、心霊研究家エド・ウォーレン&ロレイン・ウォーレン夫妻が実際に調査した事件を題材、『死霊館』シリーズ最強の恐怖が描かれる。

1981年、家主を刃物で22度刺して殺害した青年は、悪魔にとり憑かれていたことを理由に「無罪」を主張した。被告人の供述は一貫して「ぜんぶ、悪魔のせい。」法廷に神が存在するなら、悪魔も存在するというのだ。殺したのは、人か、それとも?姿なき存在を証明するため、心霊研究家ウォ―レン夫妻が立ち上がる。被告人を救うため、手がかりをもとに、警察に協力し捜査をすすめる彼らだったが、とてつもなく邪悪な何かに極限まで追い詰められていく。

THE RIVERでは、この作品で監督を務めたマイケル・チャベスに単独インタビュー。作品へのこだわりについて、じっくり話を聞いた。

死霊館 悪魔のせいなら、無罪。
© 2021 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.

『死霊館 悪魔のせいなら、無罪。』マイケル・チャペス監督 単独インタビュー

──『死霊館 悪魔のせいなら、無罪。』には、ホラー要素はもちろんのこと、事件をめぐるミステリー要素や力強いストーリーがありました。『死霊館』シリーズを観たことがないという方でも、まったく問題なく楽しめるはずです。

そうですね!シリーズのファンの方も満足いただけると思いますし、初めてという方にとっても『死霊館』ワールドへの良い導入作になると思います。本作は実際の殺人事件を基にしたクライム・ストーリーでもあるので、単なるホラー映画に留まらず、世界観を拡張しています。『死霊館』ユニバースが成功した理由は、人間ドラマが素晴らしいからだと思っています。その素晴らしい魔法が本作にもあります。

──今おっしゃられたように、本作は実話クライム・ストーリーでもありますね。リサーチはどのように進めたのでしょうか。実際の関係者にも取材を行ったのでしょうか。

脚本家がたくさんのリサーチやインタビュー取材を行っています。本作では「アーニー・ジョンソン事件」が物語の起点になっています。この悪魔祓いの様子を収めた実際の音声があって、キャストとも聴きました。関連資料もたくさんありました。私たちにとって何よりも重要だったのは、実際の被害者がいらっしゃる事件ですので、楽しい娯楽作品にしつつも、敬意を払って正しく描き、物語を伝えることでした。

──これまで、ジェームズ・ワンによって既に描かれてきたウォーレン夫妻を引き継ぐにあたって、注意した点や、新たに取り入れた点はありますか?

まず、ジェームズは素晴らしい世界とキャラクターを創り上げたと思います。それに、パトリック・ウィルソンとヴェラ・ファーミガも『死霊館』シリーズのフィーリングをうまく創られていますよね。

キャラクター像は今作の時点までに充分仕上がっていました。パトリックもヴェラも、どう演じるかを既によく理解されています。正直、これにはとても安心させられました。このシリーズは私自身も大ファンだったからこそ、監督を務めるにあたってはワクワクもしつつ、不安でもありましたので。ウォーレン夫妻といえば、私を含めファンからはまるで家族のように愛されているキャラクターです。だから、絶対に正しく描きたかった。繰り返しになりますが、パトリックとヴェラが素晴らしい演技をしてくださったことは、本当に特別なことでした。

死霊館 悪魔のせいなら、無罪。
© 2021 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.

──ジェームズ・ワンとのお仕事はいかがでしたか?彼から学んだことはありましたか?

彼から学んだことはたくさんあります。ジェームズは素晴らしいフィルムメーカーであり、人としても素敵な方。私も以前から彼のファンでしたから、一緒に仕事ができて光栄です。彼のすごいところは、長いシークエンスをカットなしで撮るところです。まさに魔法です。私も、シーンを少しでも長く撮影するために、様々な手法を試しているんですよ。

──本作は、なぜ“かつてない『死霊館』”と言えるのでしょうか?

はじめのころ、『死霊館』ユニバース版『セブン』(1995)のようなことをやりたいねという話し合いを、ジェームズとゆるくしていたんです。捜査とか訴訟の要素を取り入れてはどうか、とね。第1作目は呪われた館の映画で、その後のシリーズも呪われた館を題材にして大きな成功を収めてきました。

ウォーレン夫妻は超常現象の捜査員です。その“捜査”の姿は、これまで完全には描かれていなかったと思います。ロレイン・ウォーレンは、実際にも失踪者の捜索において、警察や刑事と連携していました。それってすごく魅力的なのに、その姿は映画で描かれていませんでいた。1980年代は、霊能力者や超能力者の方たちが警察の捜査や司法省、FBIに協力していたんですよ。実際、警察には超能力者への協力の求め方の手引書まであったんです。こういう事実が面白いと思ったんです。ウォーレン夫妻を呪われた館の外に連れ出して、外の世界で『死霊館』をやる。これまでにないものが観られるはずですよ。

──法廷ドラマ要素とホラーや事件捜査の要素、バランス取りはどう意識されましたか?法廷ドラマの部分は、どちらかというと背景として描かれているように思いました。

そうですね、たしかに法廷ドラマの部分は背景にしています。実話では、悪魔憑きによる事件として裁判は重要な要素でしたが、今回の映画ではそこまで大きく取り上げておらず、ウォーレン夫妻による事件捜査のほうが中心になっています。

死霊館 悪魔のせいなら、無罪。
© 2021 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.

──本作の予習としてオススメしたい『死霊館』シリーズ作はどれですか?

間違いなく1作目の『死霊館』(2013)ですね。とにかく本作は絶対観ていただいて(笑)、それから1作目に戻っていただければと思います。

──『ラ・ヨローナ〜泣く女〜』(2019)やビリー・アイリッシュのホラー調MV(「bury a friend」)など、あなたはホラージャンルの気鋭として知られています。ホラーにはこだわりをお持ちなのでしょうか?

もともと恐怖映画が大好きだったんです。僕が大好きな『ジュラシック・パーク』(1990)や『ターミネーター2』(1991)も、ホラー映画ではないですが、恐怖の要素がありましたよね。それを映画館で観ることはとてもスリリングで素晴らしい体験でした。それから、1980年代のホラー映画、たとえば『エルム街の悪夢』なども観て育ちました。なので本作にも、『エルム街の悪夢』からのちょっとしたインスピレーションがあります。怖い映画を映画館で観るという鑑賞体験が好きなんです。

──「映画館で観る」といえば、多くの人にとって、この映画はパンデミック以降初めて映画館で観る作品のひとつになることと思います。映画館でホラー映画を観ることは、やはり格別ですよね。

今はクレイジーな状況です。ですので、“映画を観るのは映画館に限る”とは決して言いません。身の安全が第一ですので、映画は安心して観れる状況になって観るべきだと思います。とはいえ僕は、映画館でホラー映画を観ることが大好きです。観客の叫び声が聞こえてきたり、劇場内に漂う恐怖の感覚を味わったり。まるでジェットコースターのようで、素晴らしい共有体験です。

映画館が恋しい。最後に行ったのは、アリゾナでこの作品をテスト試写した時でした。もう映画館には1年も行っていないかな。こんなに長いこと行っていないのは、人生でも初めてですよ。大変な時期が続きますが、今後戻れるようになるのはすごく嬉しいです。みなさんに本作を映画館で観ていただけることに興奮しています。恐怖とスリル満載の素晴らしい映画体験になるはずです。

──ホラー映画の撮影中は超常現象が起こりやすいと聞きます。本作の撮影中、何か奇妙な出来事はありましたか?

日常生活では、たまに遭遇することがあります。僕、10歳の頃にUFOを見たことがあるんです。最近、米海軍がUFOの存在を認めたでしょう?だから僕は正しかったんだ!(笑)

それで、この映画の撮影中は特に変わった出来事は無かったですね。けっこう色んな人から聞かれたんですけど(笑)。この映画では、最後に悪魔祓いを行っている本物の音声テープが流れるので、これを聞けば皆さんも恐怖体験ができるはずです。

この音声テープは撮影現場でも流してみんなで聞いたのですが、それ自体が超常現象のようでしたね。もしかしたら、あの音声テープを流していた時、現場に悪魔や幽霊が現れていたのかもしれません……。

──ありがとうございました。最後に、日本の観客にメッセージをお願いします。

日本は行ったことがないのですが、すごく行きたい。新婚旅行で訪れる予定だったのですが、諸事情で行けなくなってしまって。東京や京都に行って、日本の家々や伝統文化に触れてみたいです。

安全を第一に、本作をお楽しみください。すごくスリリングな作品です。マスク着用を忘れずに!

『死霊館 悪魔のせいなら、無罪。』は公開中。

Writer

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中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。