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「新型コロナ収束したら映画館に戻りたい?」映画ファンへの米調査、「数週後に」が最多

新型コロナウイルスの猛威によって、アメリカでは映画文化が一時的に奪われている。大手映画館チェーンは軒並み休業を余儀なくされ、配給は興業の場を失った。公開作品は次々に延期を発表。この危機の収束の見通しが付かない以上、新たな公開日を定められない作品もあれば、長いもので丸1年の延期を余儀なくされた作品もある(米ユニバーサル・ピクチャーズ『ミニオンズ フィーバー』)。

騒動が一息つき、映画館の扉が再び開かれた日、全てが以前のように元通り……となるのだろうか。これを探るため米Deadlineは調査会社EDOと共に、『映画ファンおよびTV視聴習慣におけるソーシャル・ディスタンシング(社会的距離)』とした調査結果を発表。「映画館が再開したら、どれくらいで戻りたいですか?」などの質問を、全米6,800名から収集したものだ。回答者の大部分が映画ファンであるという。なお、調査結果は主にグラフでのみ発表されているため、ここではおおよその数値でご紹介させていただく。グラフは米Deadlineのサイトで確認ができる。

はじめに明かされている調査結果は、「映画館が再開したら、また戻りたいと思いますか?」という質問。「とても思う」が45%で、「やや思う」は25〜30%。7割以上の映画ファンが、再び映画館で映画を鑑賞できる日を心待ちにしていることが分かる。一方で、「わからない」に20%前後、「あまり思わない」「ほとんど思わない 」にも5%前後の回答がついている。

「映画館が再開したら、どれくらいで戻りたいですか?」という調査結果は興味深く、「すぐにでも」との回答は20%程度に留まっている。「数日後に」が25%で、「数カ月後に」は10%ほど。最も多い回答は「数週間後に」の45%だ。映画館の再開後、客足が元通りになるまでは数週間かかると覚悟しておいた方が良いのだろう。この結果を受けて考えると、充分すぎると思われるほど期間を明けて公開延期を発表した作品たちには、一定の戦略が伴っていたようにも見えてくる。

一部のエリアでは「外出禁止令」も敷かれるアメリカでは、「自宅でのお供」に対する需要がこれまで以上に高まっている。「映画館が閉鎖されている中、映画をオンデマンドで購入すると思いますか?」との質問は、「やや思う」30%、「とても思う」25%という結果。実際に、劇場公開中だった作品をオンデマンドでも配信する動きや、デジタル配信リリース予定を早める動きも多くあった。

「新型コロナウイルスの感染が拡大してから登録したサービスはどれですか?」という調査では、ディズニーによる配信サービス「Disney+」がダントツで首位。往年のディズニー名作映画はもちろん、ピクサー作品、マーベル作品、スター・ウォーズ作品も楽しめる同サービスは、自宅勤務に励む両親にとって頼もしい「子守」として機能したのかもしれない。続いてHulu、その他、Amazonプライムが並び、Netflixは5位となった。

ところでNetflixでは、この度見合わせになった作品のキャストやスタッフに対して最低限の報酬を支払う基金を1億ドルで設立。「ゲーム・オブ・スローンズ」(2011-2019)などを製作・放送する米HBOも、出演者に報酬の25%を前払いする方針を発表した。ユーザーのサブスクリプション(定額購入)が収益源となるストリーミング勢は、出来うる救済に乗り出している模様だ。

一方で、収益源を絶たれた劇場公開作の製作スタジオをめぐっては、思わぬ軋轢も。キアヌ・リーブス主演『マトリックス』の新作などを製作するドイツのスタジオでは、予定していた撮影が見合わせになったため、報酬が支払われないまま放り出されたフリーランスのスタッフら300名以上が結束。法的措置も視野に入れた交渉をスタジオ側に挑んでいるという。

Source:Deadline

Writer

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中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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