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トム・クルーズ、トッド・フィールドの監督デビュー作をワインスタインから救った「作戦」が語られる

maggiejumps https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Toddfield.jpg

第80回ゴールデングローブ賞で最優秀作品賞にノミネートされた『TAR/ター』で監督を務めたトッド・フィールドが、トム・クルーズのおかげで監督デビュー作となる『イン・ザ・ベッドルーム』(2001)が救われたと、米New Yorkerに語っている。

監督デビュー前は俳優として数多くの作品に出演していたフィールドは、巨匠スタンリー・キューブリック監督の遺作『アイズ ワイド シャット』(1999)で主演のトム・クルーズと共演。その当時のフィールドは俳優から監督への転身を図っており、キューブリック監督はフィールドの映画制作に関する技術的な質問に答えるなどしてくれたが、夢に向かって力強く後押ししてくれたのは、他でもないトムだったのだとか。

フィールドは、アンドレ・デビュースの短編小説『Killings(原題)』を基にした作品のアイディアを温めていたが、おそらく原作の権利を獲得できないだろうと諦めていたとのこと。しかしトムが、「君は言い訳ばかりしているな。言い訳をするな、何とかしろ」とフィールドを叱咤。こうしてフィールドは脚本を執筆して作品の権利を得て、『Killings』を下敷きにした映画『イン・ザ・ベッドルーム』を完成させたという。

本作は2001年のサンダンス映画祭で初公開・絶賛され、ミラマックスに買収されるに至る。しかし当時のミラマックスを仕切っていたのは、監督から作品を取り上げて“ズダズダに編集してしまう”ことで悪名高かったハーヴェイ・ワインスタイン。ワインスタインといえば、一連の性暴力事件で23年の実刑判決が下り、現在収監中であることは周知の事実である。

そんなワインスタインに監督デビュー作をメチャクチャにされるのではないかと不安になったフィールドは、トイレで泣きながら「大変なことが起きてしまった」とトムに電話。するとトムから、「こうやるんだ。6ヶ月かかるけど、彼をやっつけられる。僕が指示することを、一つ一つ確実に実行するんだ」と言われたのだとか。

その計画とは、まずワインスタインに映画をあえて“ズダズダに編集”させ、試写で酷評されるのを待つ。それから、サンダンス映画際で絶賛された事実を引き合いに出し、フィールドがオリジナル版で公開するようスタジオに提案するという流れだ。

フィールドはトムのアドバイスに従い、その計画は見事に成功。その結果、『イン・ザ・ベッドルーム』は作品賞を含むアカデミー賞5部門にノミネートされ、製作予算の25倍以上の興行収入を上げた。ハリウッドで俳優・プロデューサーとして百戦錬磨のトムは、業界でピンチを乗り越える術を心得ているようだ。

トムの力強い後押しと的確なアドバイスにより、監督デビュー作を成功させたトッド・フィールドが脚本・監督を務める映画『TAR/ター』は、2023年5月に日本公開予定。

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Source:New Yorker

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Hollywood

ロサンゼルスに11年在住していた海外エンタメ翻訳家/ライター。海外ドラマと洋画が大好き。趣味は海外旅行に料理と、読書とキャンプ。

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