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2016年、イギリスで最も苦情の多かった映画は『デッドプール』 ― 映像審査機構が全力で擁護

デッドプール
© Twentieth Century Fox Film Corporation 写真:ゼータ イメージ

2016年、イギリスで最も多くの苦情が寄せられた映画は『デッドプール』だったことがわかった。
これは、全英映像等級審査機構(BBFC)が2016年の年次報告書を発表したことから明らかになったものだ。

BBFCによると、2016年『デッドプール』に寄せられた苦情の数は51件
たった51件……とはいうものの、苦情件数第2位の『スーサイド・スクワッド』は30件、第3位の『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』は20件、そして2015年の苦情件数第1位だった『007 スペクター』すら40件だったというから、いかに『デッドプール』がぶっちぎりで苦情を集めたかがよくわかる。

審査機構、『デッドプール』を全力擁護

劇場公開にあたって、BBFCは『デッドプール』のレーティングを「15(15歳未満の視聴を非推奨)」に指定していた。作品を観た人にはいまさら説明するまでもないだろうが、「激しい流血・暴力描写、激しい言葉遣いと性的表現」がその理由だったのである。

しかし意外にも思われるのは、映像を審査する側であるBBFCが、演出やレーティングの観点から『デッドプール』に寄せられた苦情にきちんと反論していることである。

たとえば暴力表現については「激しく流血も多い」としながらも「高速のアクション・シークエンスで行われるため、細部にはあまり焦点があたっていない」「コミック的な暴力描写であり、また映画のファンタジックな設定は現実とはかけ離れている」とした。また『デッドプール』が15指定である以上、「暴力描写は激しいかもしれないが、破壊や痛みを加えることについて議論すべきではない」とすら記しているのだ。
また性的な言葉遣いについては「15指定にしては激しいかもしれない」と前置きしつつ、「最も激しい表現は、文脈に沿って正しく理解されない限りはそう受け止められそうにない」(=性的だと思うのは性的だと知っている観客だけでは?)とバッサリ。性的表現も「多くは言葉だけでのユーモアや示唆」であり、15指定に「激しい言葉遣いの上限はない」ゆえに「性的な表現や言葉遣いはレーティングに沿っている」と断言しているのである。

こうしたBBFCによる反論は、あくまで自らの定めたレーティングの正当性を主張するものだ。しかし、それでも“規制する側”であるBBFCが『デッドプール』における表現の正当性を主張しているのは非常に興味深い。つまりは映画を作る側も、それを審査する側も、自由な表現のために戦っているのだ……。

いずれにせよ“2016年で最も苦情を集めた映画”というフレーズは、『デッドプール』にとっては最高の褒め言葉だろう。続編『デッドプール2(仮題)』では、ぜひ52件以上の苦情を集めての記録更新に期待したい。

Sources: http://www.bbfc.co.uk/sites/default/files/attachments/BBFC%20Annual%20Report%202016.pdf
https://www.theguardian.com/film/2017/jul/18/deadpool-tops-2016-list-of-most-complained-about-films
© Twentieth Century Fox Film Corporation 写真:ゼータ イメージ

Writer

中谷 直登
中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER編集長。ライター、メディアの運営や映画などのプロモーション企画を行っています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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