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『鬼滅の刃』ハリウッドで外国語映画の新記録樹立 ─ 興行首位は『モータルコンバット』、『ゴジラvsコング』も健闘続く

劇場版「鬼滅の刃」無限列車編
劇場版「鬼滅の刃」無限列車編

世界的人気格闘ゲームの実写映画版と、日本発の社会現象的アニメ映画がハリウッドで激突した。映画『モータルコンバット』『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』(2020)が米国で公開され、ともに予想を上回る大ヒットを記録。勝負の軍配は『モータルコンバット』に上がったが、『鬼滅の刃』も歴代記録を更新するスタートダッシュとなっている。

『モータルコンバット』『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』は、ともに2021年4月23日(金曜日)に米国で公開された。『モータルコンバット』は全米3,073館で公開され、オープニング興行収入2,330万ドル(3日間)を記録。『鬼滅の刃』は全米1,598館と劇場数こそ『モータルコンバット』の約52%にとどまったが、同じく3日間の興行収入は2,110万ドルにのぼっている。

また、『モータルコンバット』は劇場公開日の4月23日より米HBO Maxにて配信がスタートしており、25日までの3日間で380万世帯に視聴された(5分以上の視聴を対象)とのこと。大ヒットを記録した『ゴジラvsコング』(2021)と比較すれば、同作は劇場初動興収こそ3,100万ドルと『モータルコンバット』を大きく上回ったが、配信直後の視聴記録は5日間で360万世帯だった。すなわち、配信での人気は『モータルコンバット』が強いことになる。

モータルコンバット
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一方、『鬼滅の刃』の健闘はハリウッドの歴史を塗り替えた。3日間で2,110万ドルという初動成績は、外国語映画のオープニング興行収入における歴代記録を更新。もし公開館数が多ければ、さらなる記録更新も見込めたことになる。なお、『鬼滅の刃』は日本での大ヒットに続き、世界各国でも優れた成績を記録して、全世界興行収入は4億5,600万ドルに到達。後を追うのは『ゴジラvsコング』の4億660万ドル(4月26日時点)だ。

コロナ禍の影響もあり、劇場公開作品にはさまざまな条件が課せられることも少なくないが、アメリカの映画興行にも復活の明かりが灯りつつある。まもなくやってくる5月には、『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』やディズニー映画『クルエラ』、ガイ・リッチー監督&ジェイソン・ステイサム主演『Wrath of Man(原題)』が待機中だ。

『ゴジラvsコング』『モータルコンバット』を送り出したワーナー・ブラザースは、『TENET テネット』(2020)でコロナ禍における映画興行の模索に踏み切ったことが記憶に新しい。HBO Maxでの同時配信は議論を呼んだが、現時点では劇場興行を大きく毀損することもなく順調に展開中だ。今後も夏までに、アンジェリーナ・ジョリー主演『Those Who Wish Me Dead(原題)』、『死霊館』シリーズの最新作『死霊館 悪魔のせいなら、無罪。』、人気ミュージカルの映画版『イン・ザ・ハイツ』、DC映画『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』と数々の話題作を投入予定。コロナ禍からの業界回復にともない、さらなる躍進に期待がかかる。

劇場版「鬼滅の刃」無限列車編
劇場版「鬼滅の刃」無限列車編
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Sources: Deadline(1, 2, 3), Comicbook.com

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。