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『ブレードランナー 2049』監督、クリストファー・ノーランを強く意識 ― 作品に影響を与えた2人の映画監督は

ブレードランナー 2049
(C) 2017 Alcon Entertainment, LLC., Columbia Pictures Industries, Inc. and Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.

2017年、日本の映画ファンにその底力を知らしめた映画監督といえば、『メッセージ』『ブレードランナー 2049』という恐るべきSF作品を2本連続で送り出したドゥニ・ヴィルヌーヴであろう。『ボーダーライン』(2015)や『プリズナーズ』(2013)、『灼熱の魂』(2010)など「ハズレなし」といわれるフィルモグラフィは、その強度をさらに増す結果となったのである。

今後さらなる飛躍が期待されるヴィルヌーヴ監督は、これまでどんな作り手の影響を受け、そして現在の同業者にどんな視線を送っているのだろうか? 米IndieWireのインタビューで、彼はクリストファー・ノーランスティーヴン・スピルバーグイングマール・ベルイマンという3人について語っている。

ドゥニ・ヴィルヌーヴ、『ダンケルク』だけは見逃せなかった

『ブレードランナー 2049』の製作が大詰めを迎えていた2017年の夏、ヴィルヌーヴ監督は、タイトなスケジュールの中でも一本の映画だけは見逃すまいと考えていたという。その作品こそ、クリストファー・ノーランの最新作『ダンケルク』(2017)だった。

「『ダンケルク』は大スクリーンのために作られていました。あの映画では(観る環境を)妥協したくなかったんですよ。」

©2017 Warner Bros. All Rights Reserved.

映画監督であり、幅広く、かつディープに映画を観るシネフィルとして知られるヴィルヌーヴは、同時代の映画監督としてノーランのキャリアを意識していることを明かしている。インディペンデント映画から出発し、スタジオ製作の大作映画に到達したという経歴を共有するゆえだろう、その創作スタイルを敬愛しているというのだ。

「クリストファー・ノーランは非常に素晴らしい映画監督です。大作映画でも自分のアイデンティティを守り、自分自身の世界を作り出している。現在でも知的なコンセプトをスクリーンに映し出している。すごく稀有なことですよ。彼の作るすべての映画、彼の仕事にはすごく感激しています。」

ノーランと同じく、ヴィルヌーヴもまた自身の作家性を色濃く打ち出す映画監督だ。『ブレードランナー 2049』がリドリー・スコットによる前作のコピーではなく、まごうかたなきヴィルヌーヴ作品として成立していたのはその証左だろう。

スピルバーグ、ベルイマンから受けた影響

ヴィルヌーヴ監督の作家性が若かりし頃からはっきりと存在したことを裏付ける、ひとつのエピソードがある。20代の頃、彼は映画を作るうえで、“ある試み”にこだわっていたというのだ。

「20代の頃、いつも独特の映画を作ろうとしていたのを覚えています。撮影や編集の面で、いつも異なる方法、異なるアプローチ、異なるアイデアをもって現実に迫ろうとしていました。でも当時の映画を連続して観たら、全部同じだったんですよ。クレイジーでした、ビックリしましたね。」

現在の監督は、自分の新作が以前の映画と大きく異なるものだとは主張しないようになったという。また、自身の作風や作家性について深く考えすぎないようにもなったのだとか。そんな彼は、自身の映画づくりの源泉として2人の映画監督を紹介している。

「すさまじいインスピレーションの源として、2人の映画監督がいます。イングマール・ベルイマンとスティーヴン・スピルバーグです。それぞれ理由は別にあって、イングマールは人生において芸術的に大きな衝撃を受けた人。もともとスピルバーグからは、その映画監督としての天才性に刺激を受けていたんです。」

現代の映画監督を追いかけることの楽しみは、その人物に影響を与えた監督や作品へと遡りながら、さらに映画を深く噛みしめられるところにある。ヴィルヌーヴ監督を今でも刺激してやまない2人の作り手による仕事を、改めて丁寧に観ていくのも優れた体験になるはずだ。

映画『ブレードランナー 2049』のブルーレイ&DVDは2018年3月2日発売
なお、クリストファー・ノーラン監督作品『ダンケルク』のブルーレイ&DVDは現在発売中だ。

Source: http://www.indiewire.com/2017/12/denis-villenueve-influences-christopher-nolan-steven-spielberg-ingmar-bergman-1201904623/
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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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