「僕らはいつ成長する?」50年の時を超え、二人の歌声が交差する ─ 映画『デトロイト』珠玉の「Grow」ミュージック・ビデオ

これからお見せする約4分間の映像は、映画『デトロイト』鑑賞前と鑑賞後とでその感動が大きく変わるものだ。
徹底したリアルな描写による圧巻の臨場感、先が読めない骨太でスリリングなストーリーテリングで知られる、キャスリン・ビグロー監督最新作『デトロイト』は、1967年7月23日に起きたアメリカ史上最大級の<デトロイト暴動>渦中に起こった「アルジェ・モーテル事件」を描き出す。
このアルジェ・モーテル事件で人生が一変してしまうボーカルグループ「ザ・ドラマティックス」のラリー・リード本人と、ラリーを演じた俊英アルジー・スミスが夢の競演を果たしたミュージック・クリップが公開となった。
このミュージック・クリップでは、事件の被害者の一人、地元出身のボーカルグループ「ザ・ドラマティックス」のリード・シンガー、ラリー・リードをフィーチャーする。モータウンサウンドで知られるデトロイトの音楽の殿堂フォックス・シアターでのデビューを目前にしていたラリーは、暴動発生で人生が一転、混乱を避けるために向かったアルジェ・モーテルで、想像を絶する悪夢の体験に晒された。
映画『デトロイト』で、アルジェ・モーテル事件に夢と希望を奪い去られたラリー・リードの悲劇は大きく描かれる。あの事件から50年、こうしてひとつの夢を果たしたラリーが何かの意志に導かれるようにしながら若き才能と歌声を交わし合う本映像は、『デトロイト』鑑賞後に是非もう一度ご覧頂きたい。『デトロイト』の重厚な文脈を経て、格別の意味合いを帯びた4分間に生まれ変わるはずだ。
50年を超えて
ラリーを演じてNAACP(全米有色人種地位向上協会)賞主演男優賞にノミネートされた注目の俳優アルジー・スミスは、「『Grow』のレコーディングをしている最中に、僕が演じるラリー・リード氏が入って来た。それで彼に参加してもらうことになった」と、50年の時を越えてラリー・リード氏との奇跡の共演が実現した経緯を説明する。そして、父親のピアノ伴奏でのレコーディングは最高の体験だったと目を輝かせる。映像では、肩を抱き合うラリーとアルジーは満面の笑顔を披露している。アルジーは「ラリーは50年前に奪われた夢を果たすことができた。何百万人もの心に届く歌をやっと歌うことができた。チャンスは必ず巡ってくる」と力強い尊敬の言葉で結んでいる。
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『デトロイト』が描くのは、1967年に起きた白人警官による黒人たちへの理不尽で暴力的な尋問と、3人もの若者を銃殺したという蛮行、そしてその後の加害者と被害者たちがたどった人生だ。この映画は今のアメリカ、そして世界の今を照射する。暴動発生から50年の歳月を経ても尚、白人警官による黒人に対する虐待は繰り返され、今も変わらない現実が日々繰り返されている。
「映画の目的が変化を求めて闘うことなら、そして人々がこの国(米国)の人種問題に声を上げる用意があるなら、私たちは映画を作る者として、喜んでそれに応えていく。この映画が、少しでも人種に関する対話を促すための役に立つこと、そしてこの国で長きにわたって根強く残っている傷を癒すことができることを願っている」と語るキャスリン・ビグロー監督の熱いメッセージは、アルジーも作詞に参加したこの書き下ろし曲の「Grow」に込められている。
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