ディズニーCEOボブ・アイガー、取締役会の議席争いで「物言う株主」に勝利 ─ 後任者の検討、今後の最優先事項に

米ウォルト・ディズニー・カンパニーの取締役会をめぐる議席争いで、現CEOのボブ・アイガー氏をはじめとした現行取締役12名が、同社に圧力をかけていた投資家アクティビスト(物言う株主)のネルソン・ペルツらに勝利したことがわかった。米Varietyが報じている。
ペルツ氏率いるトライアン・パートナーズ社は、過去数年間にわたるディズニーの株価低迷と、2022年11月に退任したボブ・チャペック元CEOに関するCEOの選定プロセスなどを問題視し、取締役会には早急の変化が必要だと訴えてきた。株主による投票に先行し、「なぜ全員女性、全員黒人のマーベル映画を作らないといけないのか」などと現行の方向性に対する批判も展開している。
ところが、ディズニーの株主は現行の取締役会を支持した。2024年4月3日(現地時間)に行われた株主総会では、ディズニーが選出した現取締役12名、ペルツ氏らトライアン社の2名、投資会社ブラックウェルズ・キャピタルの3名による計17名を対象とした株主の投票が実施され、現行の12名が大差で再選を勝ち取ったという。
暫定の開票結果によると、ボブ・アイガーCEOは全体の94%の信任を受けて再選を果たしたが、ペルツ氏は全体の31%にとどまり、同じくトライアン社からの候補者だった元ディズニー幹部のジェイ・ラズロ氏はそれ以下の得票率だったという。なお、トライアン社は現取締役のマリア・エレナ・ラゴマシノ氏の解任を求めていたが、ラゴマシノ氏はペルツ氏の2倍、ラズロ氏の5倍もの得票率で再選されている。
投票に先がけては、『スター・ウォーズ』の創造主であるジョージ・ルーカスが、ディズニー最大の個人筆頭株主として「魔法の創造は素人のためのものではない」と述べ、アイガーCEOら現行の取締役会を支持する声明を発表していた。
株主総会翌日の4月4日(現地時間)、アイガーCEOは米CNBC局に出演し、自身の後任者を検討することが「取締役会の最優先事項」だと明言。「私が今後もずっと務めることはない」として、取締役会としても緊急性をもって取り組んでいることを認めた。新CEOの選定スケジュールは不明だが、アイガーCEOとディズニーの契約期間は2026年12月末までとなっている。
ちなみに、今回のペルツ氏による“反乱”の背景には、アイガー氏と対立して解雇された元マーベル・エンタテインメント会長のアイザック・パルムッターによる個人的な恨みがあるとみられていた(パルムッター氏はトライアン社の株式の78%を所有している)。もっとも、アイガー氏は「私への個人攻撃とは考えないようにしていた」と述べている。
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