Menu
(0)

Search

米ディズニー、映画・ドラマの製作費削減 ─ ディズニープラス戦略も一転、「禁じ手」ライセンス販売も視野

Thomas Hawk https://www.flickr.com/photos/thomashawk/44187056284

米ディズニーのボブ・アイガーCEOは現地時間2023年3月9日のモルガン・スタンレー主催イベントにて、同社製作の映画やドラマにおける製作費を削減する方針を語った。米The Hollywood Reporterが伝えた。

アイガーは、コンテンツの製作費が「大きく高騰している」と述べ、テレビドラマであれ映画であれ、「コンテンツ一本あたりの経費を削減する」とした。製作費高騰は同社として「サポートできる形のものではない」というのがアイガーの見解であり、コンテンツ製作者からの同意も得られていると説明した。

今後は製作するコンテンツを慎重に精査する構え。「どれだけの量のコンテンツが必要かをきちんと理解して、製作量を減らす。つまり、どれだけの量のコンテンツに、どれだけの費用を費やすかということだ」とした。

傘下のマーベル・スタジオでは、既に今後の作品発表ペースを落とす方針を明らかにしている。これに関係するようにアイガーは、「自社プラットフォーム向けに製作しているコンテンツを減らしていく」としながら、「その中で、サードパーティーにライセンスを供与することもあるかもしれない」と述べた。

同社は過去数年間、独自の動画配信サービスであるディズニープラスなどの事業成長に比重を置いており、他社へのコンテンツ販売は、アイガー自身も言うところの「禁じ手」だった。「しかし、こうしたプラットフォーム向けのコンテンツが少なくなり、かつ、まだコンテンツ制作能力があるのならば、それを活用して収益を伸ばせば良いのではないか。おそらく、この方針で進むと思います」。

ディズニープラス向けの作品が他社の配信サービスに供給される可能性がある。国外では権利系統が異なる部分もあるため、日本のユーザーへの影響はまだわからない。

Disney+はNetflixの背を追って会員数を伸ばし続けていたが、2022年末時点で減少に転じていた。ディズニー作品やマーベル、スター・ウォーズと言った強力な独占コンテンツを有するも、いまだ黒字化には至っていない。もともと2024年の黒字転換を目指すものとされているが、2022年7~9月期はサービス始まって以来最大の赤字を計上。コロナ禍の巣篭もり需要も落ち着き、会員数は既に「天井」に近づいたと指摘されている。テーマパーク事業などで稼いだ利益がここに吸収されていく構造に、投資家からの目も厳しくなっている。

あわせて読みたい

Source:The Hollywood Reporter

Writer

アバター画像
中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

Ranking

Daily

Weekly

Monthly