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ヒース・レジャー没後10年、『ダークナイト』ジョーカー役をクリストファー・ノーランが振り返る ― 「映画史にとって意義深い」

ダンケルク
©2017 Warner Bros. All Rights Reserved.

2008年1月22日(米国時間)、俳優ヒース・レジャーが、マンハッタンの自宅アパートにて遺体で発見された。死因は薬の併用摂取による急性薬物中毒、28歳だった。
映画『パトリオット』(2000)、『ROCK YOU!』(2001)、『ブラザーズ・グリム』(2005)、『ブロークバック・マウンテン』(2005)、『アイム・ノット・ゼア』(2007)、そして遺作となった『Dr.パルナサスの鏡』(2009)など、決して長くないキャリアながら、そのフィルモグラフィには今振り返っても充実の作品群が並んでいる。

なかでもヒースの代表作として多くの人々に記憶されているのは、DCコミックスのヒーロー、バットマンを実写映画化したダークナイト(2008)だろう。ヒースはこの映画で狂気の犯罪者ジョーカー役を務め、その圧倒的な演技で観客を驚愕させた。本作の完成を待たずしてヒースはこの世を去ったが、彼の演技はアカデミー助演男優賞を獲得するに至っている(2018年1月現在、ヒーロー映画で俳優としてオスカーを受賞した人物は彼以外に存在しない)。

あまりに衝撃的、そして魅力的なジョーカー像を間近で受け止め続けた人物、それが『ダークナイト』の監督を務めたクリストファー・ノーランだ。いまやヒットと評価を両立する現代の巨匠となった彼は、ヒースの仕事をどのように見つめていたのか……。没後10年が経った今、英BBC Radio1にて、当時の様子が改めて語られている。

ヒース・レジャーの演技、「予想できなかった」

『ダークナイト』ジョーカー役で観る者の度肝を抜いたヒースは、その撮影現場では監督であるクリストファーをも驚かせていたという。なにしろ彼は、その演技プランをなかなか見せようとはしなかったというのだ。

「ヒースは何をするつもりなのか、そのヒントを僕にくれていましたよ。ほんの少しだけ話をしていたんです。だから、僕も彼の観客になって、彼のやることに参加しようとしていました。それでも、ほとんど予想できませんでしたね。彼は自分の手の内を隠しておきたかったんだと思います。彼の“声”や演技のやり方が、少しずつ僕にもわかってきました……でも、“これがジョーカーだ”って、一度にわかるようなものではなかったですよ。」

つまり、緻密な演技の構築で知られるヒースは、その作り込みの反面、『ダークナイト』の撮影現場では半ば即興の演技スタイルを採用してジョーカー役に挑んでいたわけである。公開から10年を経てもなお、ヒーロー映画のヴィランの象徴として君臨するキャラクター造形について、クリストファーはこう語っている。

「彼が衣裳やメイクで(役柄を)作り上げるのを見ていると、その創造プロセスに立ち会えることがすごく楽しかったですね。そして撮影現場では、手を叩いてみせたり、彼なりの声で演じたりしていて。あの声もまったく予想できなかったんですよ、奇妙な音程を作ってるんですよね。あれ以来、彼のモノマネをする人がたくさん出てきています。でも僕たちは、もしも彼がもっと高い声を出してたら、あるいはもっと低い声を出してたら、なんてことはわからない。誰も彼の企みについて知らなかった。それが彼の恐ろしいところなんですよ。

クリストファーが手がけた『ダークナイト』は、ヒースが作品の全編を通して自身の役柄を演じきった、その最後の作品だ。ジョーカーではなく俳優ヒース・レジャーとの共同作業、その類まれなる才能について、クリストファーは賞賛の言葉を惜しまない。

「素晴らしい俳優、そして彼の残した仕事に、あらゆる形で関わっていることをとても誇りに思います。彼は非凡な人物であり、非凡な俳優でした。そのように認められることは、彼の家族にとって、また映画史にとって意義深いものだと思うんです。彼の貢献したもの、そして映画史へのあらゆる面での貢献は、重要なものとして記録されることでしょう。僕もその一部であることを、非常にうれしく思います。」

映画『ダークナイト』のブルーレイ&DVDは現在発売中。決して色褪せない演技を、ぜひ繰り返し噛み締めてほしい。
なお、クリストファー・ノーラン監督の最新作『ダンケルク』のブルーレイ&DVDも現在発売中だ。

Sources: https://www.youtube.com/watch?v=69EbDD4_f6k
https://screenrant.com/christopher-nolan-heath-ledger-joker/
©2017 Warner Bros. All Rights Reserved.

Writer

稲垣 貴俊
稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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