『ドン・キホーテを殺した男』カンヌ映画祭でお披露目か ― 製作陣が報道否定、フランス版予告編が公開に

『未来世紀ブラジル』(1985)や『12モンキーズ』(1996)の鬼才テリー・ギリアムによる新作映画『ドン・キホーテを殺した男(原題:The Man Who Killed Don Quixote)』は、やはり2018年5月のカンヌ映画祭にてお披露目される可能性が高そうだ。プロデューサーとフランスの配給会社が共同で声明を発表した。
本作については、2016年にプロデューサーとして携わっていたパウロ・ブランコ氏が作品の権利は自らが有していると主張。自分が認めなければ劇場公開はできないとして、裁判に発展する事態となっていたのだ。判決は2018年6月まで下されないため、カンヌ映画祭での上映や2018年5月のフランス公開は困難とみられていた。
プロデューサー&配給会社が「屈しない」と宣言
2018年4月6日、『ドン・キホーテを殺した男』のフランス公式Facebookでは、プロデューサーと仏Ocean Film社によるプレスリリースが公開された。そこには、パウロ・ブランコ氏による主張が映画公開に及ぼす影響が明快に記されていたのである。
この文章は、「映画『ドン・キホーテを殺した男』は、パウロ・ブランコ氏の申し立てによって妨害されるものでは決してありません」という一文から始まっている。裁判所の判決は映画の公開に影響を与えないということだ。ブランコ氏は撮影の妨害を試み、権利の侵害を裁判所に訴え出ているものの、そちらはすでに退けられている。このたび問題となった訴訟については、ブランコ氏とテリー・ギリアム監督の間で行われるもので、結果は二者間のみに影響を与えるものということだ。
プレスリリースにおいて、このたびの問題は「権威ある映画祭での公開が迫る中で行われた、パウロ・ブランコ氏によるプレス・キャンペーン」だとすら記されている。プロデューサーや配給会社側は余裕の対応を見せている状況で、「脅迫には屈しない」「テリー・ギリアムの25年にわたる仕事を絶対に守る」という言葉で文章は締めくくられているのだ。
「権威ある映画祭での公開が~」という文言からも十分察することができるように、やはり本作『ドン・キホーテを殺した男』は、以前からの推測通り、カンヌ映画祭にてお披露目となる可能性が高そうだ。しかしこれまでの経緯からすると、実際に本編を観るまで決して安心できない……?
なお本声明に先がけて、『ドン・キホーテを殺した男』のフランス版予告編が公開された。数多のトラブルに見舞われ、長年をかけて製作されてきた“いわくつき”の一本だが、それを感じさせないほどの軽やかさは、さすがテリー・ギリアムの仕事といえるだろうか。日本公開を楽しみに待つことにしよう。
Sources: The Playlist, L’Homme qui tua Don Quichotte, One Media
Eyecatch Image: One Media