『DUNE/デューン』ハルコンネン男爵、『地獄の黙示録』マーロン・ブランドに影響を受けていた

映画『DUNE/デューン 砂の惑星』で強烈なインパクトを残したハルコンネン男爵の容姿が、フランシス・フォード・コッポラ監督による『地獄の黙示録』(1979)でマーロン・ブランドが演じたキャラクターの影響を受けていたことがわかった。衣装デザイナーのジャクリーン・ウェストが明かしている。
ステラン・スカルスガルドが演じているハルコンネン男爵は、アトレイデス家の宿敵として登場。やることなすことの全てが卑劣極まりない、正真正銘の悪党だ。そんな男爵を現代で蘇らせるにあたり、衣装デザイナーのジャクリーン・ウェストは『地獄の黙示録』に目を付けたという。米The Hollywood Reporterとの取材で、ウェストは制作の初期段階にドゥニ・ヴィルヌーヴ監督と交わしたやり取りを振り返っている。
「バロン(男爵)は180キロの大男でしたから、サスペンサー(支え)を使わないと動かせませんでした。小説でも(男爵は)自分の体重を支えきれないと書かれていましたよね。ドゥニは、彼の容姿が強烈で脅迫的なものでないといけないと考えていました。彼を愚かな見た目には描けません。あとは、どんな服装にしたらいいか?ということも懸念されていました。
だから私は、『地獄の黙示録』のマーロン・ブランドがアイデアの起点として良いのではないかと提案したんです。あとムームー※みたいな長丈で黒いシルクの服装にするアイデアも伝えてみました。」
※ハワイで女性の正装とされているドレス
『地獄の黙示録』でブランドが演じたのは、ベトナム戦争中、赴任先のカンボジアで独裁体制を敷いていたカーツ大佐。ハルコンネン男爵とは丸坊主の外見だけでなく、思想上の共通点も見いだせる。ウェストによれば、この提案にヴィルヌーヴ監督は「かなり興奮していた」とのこと。どうやらヴィルヌーヴ監督も『地獄の黙示録』のブランドを着想元として考えていたらしく、ウェストに提案された時は「まさにそれです!」と答えたという。ウェストは「私たちはすぐに意気投合しました」と当時を振り返っている。
ちなみに『地獄の黙示録』では、水面からブランド演じるカーツ大佐が顔を出すシーンが有名だが、『DUNE/デューン』ではこれを彷彿とさせるハルコンネン男爵のワンカットが登場する。ぜひもう一度、劇場で確かめてみては。
Source: THR