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『ダンケルク』に『ダークナイト』3部作が与えた影響とは ― クリストファー・ノーラン監督が過去作品との比較で語る

ダンケルク
©2017 Warner Bros. All Rights Reserved.

クリストファー・ノーラン監督の最新作ダンケルクは、なにかと彼の過去作品と比較して語られることの多い映画だ。“初めての”史実に基づいた戦争映画、“久々に”SF/ファンタジー要素を持たない物語、そして“デビュー作に次いで”短い上映時間……。こうしたメディアの反応は、本作が監督のフィルモグラフィにおいても革新的であることを示しているだろう。
では、ノーラン本人は『ダンケルク』と過去作品の関係をどのように捉えているのだろうか?

『ダンケルク』の米国公開時に現地メディアが行ったインタビューでは、ノーラン監督による自己分析が行われている。

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ダークナイト』『インターステラー』の与えた影響

『インターステラー』(2014)は169分、『ダークナイト・ライジング』(2012)は165分、『インセプション』(2010)は148分。『ダンケルク』の106分という上映時間は、ノーラン監督の作品に親しんでいる観客ほど驚かされる短さだろう。セリフを極限まで廃したノーラン監督自身による脚本も、過去作品に比べると圧倒的に短かったようだ。
エンターテインメント・ウィークリー誌のインタビューで、ノーラン監督は“短い脚本”に込めた企みを明かしている。

「(従来作品の)半分くらいの長さになりました。76ページの、とても短い脚本だったんですよ。まずは何よりも、映像を通じてストーリーを語りたかった。また僕は、この映画を大作映画の第三幕がずっと続くような作品にしたかったんです。ここ数年に作られた、ジョージ・ミラーの『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(2015)やアルフォンソ・キュアロンの『ゼロ・グラビティ』(2013)のように出来事や人物を扱いたかったんですよ。」

こうした試みは、長い上映時間の中でもセリフに重きを置いた印象のある『インターステラー』とは真逆のアプローチだろう。『インターステラー』を作った後だからそう考えたのか、それとも……。

自分の作ったものに対して敏感になりすぎたくないし、けれども同じことを繰り返したくもない。自分が深めていきたいことを映画の中に見つけるんですよ。たとえば『ダークナイト・ライジング』の冒頭では、ベインが登場する場面で複雑な空中のシークエンスを撮りました。そこを踏み台にしてこの映画を作りたかったんです。」

このようにノーラン監督は、自分が過去に選択してきた演出やスタイル、方法論を更新しようとしている。『ダークナイト・ライジング』だけでなく、本作にはあらゆる自作や映画史を咀嚼した“最新のクリストファー・ノーラン”がありったけ詰め込まれているに違いないのだ。たとえば音楽を担当したハンス・ジマーとのコラボレーションにおいても、『ダンケルク』は確実に“新しい次元”へと進んだ印象がある。

ちなみに米ロサンゼルス・タイムズ誌の取材では、かつて取り組んだ『ダークナイト』3部作が、現在の監督に大きな影響を与えたことも語られていた。

「(『ダークナイト』3部作は)エンターテインメントへの敬意をもって大作映画を作った時間だったと思います。サスペンスフルなエンターテインメントでしたからね。(バットマンという)キャラクターと10年間仕事をしたことは、映像やサウンド、自分なりの演出のやり方を知るために欠かせないものでした。」

映画『ダンケルク』は2017年9月9日より全国の映画館にて公開中。作品を観た後にはきっと、お気に入りのノーラン作品を見返したくなることだろう。

Sources: http://ew.com/movies/2017/07/18/christopher-nolan-dunkirk-feature/
http://www.latimes.com/entertainment/movies/la-et-mn-christopher-nolan-20170331-story.html
©2017 Warner Bros. All Rights Reserved.

Writer

稲垣 貴俊
稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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