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『ダンケルク』最新予告編から読み解く「陸海空」の3視点と、緊迫を生む「時計の針の音」の仕掛け

©2017 Warner Bros. All Rights Reserved.

鬼才クリストファー・ノーラン監督による話題の最新作『ダンケルク』より、日本語字幕が付いた新たな公式予告編が解禁となった。この映像では、陸海空3つの視点から戦場の緊迫を描いており、『ダンケルク』のストーリーがあらゆる視点で同時進行していく物語であることを示唆している。

https://youtu.be/yZvHuuhXDJE


先に本国プロモーションで公開された映像から読み取れる本作の見所(構成、テーマ)と、史実『ダンケルクの戦い』、予告編に登場する戦闘機の解説は既にこちらの記事でご紹介した通りだ。

 

https://theriver.jp/dunkirk-main-trailer/

今回は、この予告編映像で描かれている陸海空の3つの視点から想像できるドラマと出演者、見どころについてご紹介したい。

陸:フィオン・ホワイトヘッド、ハリー・スタイルズ

©2017 Warner Bros. All Rights Reserved.
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陸地でのパートでは、今後の活躍も期待される若手俳優らが起用されている。若き4人の兵士のうちの1人として登場するのはフィオン・ホワイトヘッド。ノーラン監督に直々に指名されたというこのイギリス出身の若者は、ほぼ無名の若手俳優だ。宣材用スチール写真として大々的にフィーチャーされていることからも、物語の主要人物として大抜擢されたことがわかる。また、日本でも人気のポップ・グループ『ワン・ダイレクション』のメンバーで、ソロ・デビューを果たしたばかりのハリー・スタイルズも登場するが、ハリーはしっかりとオーディションを勝ち残ってこの役を射止めている。

映像では、彼らが息切れしながら街を駆ける様子や、絶望とも憤りとも取れぬ表情で浜辺に呆然と座り込む様子が確認できる。おそらく登場人物らの中でも最も”純粋”または”無知”に近い立場で描かれるであろうこの若者たちの視点を通じて、僕たち観客は戦地で巻き起こる狂気と不条理さに振り回されるのだろう。

海:マーク・ライアンス、ケネス・ブラナー、キリアン・マーフィー

今作は、海峡でドイツ軍に包囲されたイギリス・フランス連合軍の40万人の兵士たちを命がけで救出する史実を描くもの。陸空でのストーリーが海上での戦いに集結してくと考えられるだろう。

映像内でジョージと呼ばれる青年を民間船に乗せ「招集がかかった」「戦場へ行くぞ」と発している男性は、ディズニー✕スピルバーグ監督作品『BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアント』の巨人を演じたことも記憶に新しい、ベテラン舞台俳優のマーク・ライアンス。
そして、海軍将校と見られる衣装に身を包み、険しい表情を見せているのは1989年公開の『ヘンリー五世』でアカデミー監督賞及び主演男優賞にノミネートされた経歴を持つシェイクスピア俳優、ケネス・ブラナーだ。
さらに、船内で激昂しているのは『ダークナイト』三部作のジョナサン・クレイン / スケアクロウ役、『インセプション』ロバート・フィッシャー役とノーラン作品代表作でもおなじみのキリアン・マーフィー。民間船による援助作戦指示に抵抗の様子を見せており、劇中では複雑な人物として描かれそうである。

空:トム・ハーディ

空軍のパイロットとして登場するのは、『インセプション』イームス役、『ダークナイト ライジング』 ベイン役と、ノーラン作品ではおなじみのトム・ハーディ。『ダンケルク』は陸海空の3視点から物語が進行すると見られることから、特定の主人公といった概念は存在しないようだが、過去のノーラン作品における役どころや本映像で見られる立ち位置、そしてトム・ハーディ自身の知名度を省みても、事実上の主人公またはそれに準ずる重要な役どころとして登場することは明らかだ。

本映像では全体を通じて絶体絶命的な”絶望感”を煽るような印象だが、トム・ハーディは映像の最後にも「空軍はなぜ来ない!」のセリフを受けて勇ましく登場。ドイツ軍の戦闘機と緊迫のドッグファイトを見せていることから、英雄的なキャラクターとして描かれることが期待できる。

緊迫感を生む時計の針の音

『ダンケルク』予告編は、とにかく観るもの全員に恐怖と不安を感じさせる緊張感溢れる映像になっているが、その演出に大きく貢献しているのは背後に流れる時計の針の音だろう。

ノーラン作品と時計の針の音といえば、『インターステラー』(2014)にて、『ダンケルク』の印象同様に水平線の彼方まで海が一面に広がる”ミラーの星”の場面でも象徴的に使用されていたことを思い出す人も多いのではないだろうか。重力の影響を受ける”ミラーの星”では時間の進み方が異なり、1時間が地球の7年に相当する。針の音は”ミラーの星”でのタイムリミット付の緊迫感を演出するのに一役買っていた。

『インターステラー』での時計の針の音がおよそ1秒に1回の音を刻むテンポが主だったのに対し、『ダンケルク』予告編の針の音は基本的に1秒に4回ほどのテンポだ。これは、『インターステラー』ミラーの星では異世界の”永遠”にスロウに呑み込まれる恐怖を演出する目的だったのに対し、『ダンケルク』では刻一刻と迫るタイムリミット…誰も逃れることができない、確実に存在する”死”(それも、戦争によって不条理に早められたタイムリミット)の恐怖を生々しく表現するための手法として扱われるためだろう。

このように『ダンケルク』では、陸海空3つの視点が同時進行的に折り重なりあい、観客にも息をつかせること断じて許さない、圧倒的な緊迫感が描かれるものと期待できるのである。思わず肩に力が入る緊張感と共に、ノーラン監督も「観客の皆さんをダンケルクの砂浜へ連れて行きたかった」と語っているが、その臨場感はIMAX 65ミリとラージ・フォーマット65ミリ・フィルムの組み合わせて撮影されたという大迫力の映像によってさらに高められることとなる。既に国内の一部劇場公開作品の上映前に、本作の劇中映像がIMAXの画面いっぱいに広がる巨大映像で披露されているが、これを運良く体験できた方なら「今作は絶対にIMAXの劇場で鑑賞するべき」という主張にもご納得いただけるはずだ。

©2017 Warner Bros. All Rights Reserved.
日本版ポスターも余計なキャッチフレーズを入れず、本国版そのままの緊張感があってカッコいい! ©2017 Warner Bros. All Rights Reserved.

「僕らは最悪の戦況にいた。生き延びてやる」。はるか海の彼方には故郷、共に生きると誓った若者たちのドラマが描かれる本作。解禁された映像では、一人の青年を通して、海辺の町ダンケルクに追い詰められた英仏連合軍の若き兵士たち40万の姿が映し出される。およそ倍のドイツ敵軍が40万人を完全包囲、彼らに迫る中、タイムリミットへの時を刻む音が緊迫感を高めていく。時間なし、逃げ場なし、望みなし。絶対絶命の状況下、陸海空3つの視点でストーリーが同時に進行。そしてイギリスからは、彼らを救おうと決死の覚悟で民間船までもが動き出す。果たして若者たちは、生きて故郷に帰ることが出来るのか――!?

革新的な作品で世界中の度肝を抜いてきた天才クリストファー・ノーランが初の実話に挑む大注目作品『ダンケルク』は、2017年9月9日(土)日本公開。

©2017 Warner Bros. All Rights Reserved.

Writer

中谷 直登
中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER編集長。ライター、メディアの運営や映画などのプロモーション企画を行っています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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