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『ベイビー・ドライバー』エドガー・ライト監督、映画館は「上映前の宣伝長すぎる」 ─ Netflix時代に激励と要望、業界人にも厳しい視線

エドガー・ライト
Photo by Gage Skidmore https://www.flickr.com/photos/gageskidmore/9345815579/

『ベイビー・ドライバー』(2017)のエドガー・ライト監督が、ともすれば“対立関係”とされがちなNetflixと映画館の関係について、イギリスの映画館主たちに(やや手厳しい)激励を送った。米Deadlineが報じている。

次回作となるホラー/スリラー映画『ラスト・ナイト・イン・ソーホー(原題:Last Night In Soho)』の編集作業が進む中、ライト監督は、2020年3月3~4日(現地時間)にロンドンで行われた英国映画協会のカンファレンス・イベントに登場。そこで映画館で映画を観ることへの思いを語っている。

「Netflix作品を観るのは好きですが、どこかの時点ではソファを離れて家を出なきゃいけない。僕は、映画を観に行くことが好きだからです。テレビやストリーミングからはいろいろなことが聞こえてくるけれども、僕は、“大スクリーンで観なきゃいけない”と思ってもらえる映画を作りたいと考えてきました。」

現時点での最新作『ベイビー・ドライバー』は、まさにライト監督のそうした志向性が実を結んだものだろう。激しいカーチェイスの映像、卓越した選曲センスによる劇中曲が絶妙な編集でシンクロする同作は、まさに大スクリーンと大音響で観てこそ真価が発揮された一本だったのだ。

しかし、そうした映画を手がけているゆえだろうか、監督は映画館側に対して、より優れた映像・音響体験を保証してほしいとも訴えている。「本当に大切なのは、(映画という)奇跡を作るために何ができるのかということ」「電車に乗りながらiPhoneで観るんじゃなく、映画館に行きたいと思わせる理由が必要です」。そして、監督が疑問視しているもののひとつが“長すぎる宣伝”だ。

(上映前の)コマーシャルが長すぎます。なぜ必要なのかは理解していますが、それでも長すぎる。これは一人の観客として言うことです。すべての映画館チェーンがそうだとは言いませんが、中には特にひどいところもあります。」

宣伝の長さで上映時間がさらに伸びてしまうことから、ライト監督は、やむなく長尺の作品を自宅で観ることもあると明かしている。また、“映画館に行こう”という広告を映画館で流すことは「無意味」だとバッサリ言い切り、まさにこれから上映される作品の映像を本編前に流すことにも苛立っていると述べた。

いまや業界きっての人気監督となったライトは、今でも創作や仕事のかたわら、週に1回以上は映画館に足を運び、一般の観客とともに映画を観ているとのこと。「観客と一緒に映画を観ない業界の人間があまりに多いことには驚かされ続けています。みなさんも驚くと思いますよ」と述べ、業界の内部にも厳しい視線を向けることも忘れなかった。

エドガー・ライト最新作『ラスト・ナイト・イン・ソーホー(原題:Last Night in Soho)』は2020年9月25日に米国公開予定。

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Source: Deadline

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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