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【解説】『エジソンズ・ゲーム』もっと理解できる予習復習 ─ 誰でも分かる電気講座、字幕監修の教授に教えてもらおう

エジソンズ・ゲーム
©2019 Lantern Entertainment LLC. All Rights Reserved.

世紀の発明王トーマス・エジソンと、実業家ジョージ・ウェスティングハウスの壮絶なビジネスバトル=電流戦争を描いた映画エジソンズ・ゲームが大ヒット公開中だ。

『ドクター・ストレンジ』ベネディクト・カンバーバッジがエジソンを、『シェイプ・オブ・ウォーター』マイケル・シャノンがライバルのウェスティングハウスを演じ、MCU『スパイダーマン』シリーズのトム・ホランドや『女王陛下のお気に入り』ニコラス・ホルトら人気の俳優が集結した。

電気をテーマにした本作を観て、少しでも興味が湧いた方や、これから観たいという方へ。本作の字幕監修を務めた岩尾徹教授が、誰にでも分かりやすい「電気講座」を開いてくれた。教授の解説と共に、『エジソンズ・ゲーム』と科学をより深く楽しもう。

1.直流ってなに?

エジソンズ・ゲーム
©2019 Lantern Entertainment LLC. All Rights Reserved.

エジソンの直流では、電気は常に一方向に流れます。したがって、直流は電気的な扱いが楽でした。しかし、遠くまで電気を送ることができないという欠点があり、発電所を多く作らなければなりませんでした。エジソンは、扱いが非常に難しい交流は当時の技術では実現が出来ないと思い、より簡単でより早く実現可能な直流にこだわっていたのかもしれません。

2.交流ってなに?

エジソンズ・ゲーム
©2018 Lantern Entertainment LLC. All Rights Reserved.

交流は、電圧を簡単に高くしたり低くしたりすることができます。この変換は直流にはできず交流にしかできませんでした。電気は電圧が高いと送電中の損失が少なく済むためより遠くまで電気を送ることができます。交流は、電気的な扱いは難しいが、遠くまで電気を送ることができたため、発電所を多く作らなくても良かったのです。そのため、ウェスティングハウスは交流を主張していました。

3.テスラってなにがすごいの?

エジソンズ・ゲーム
©2018 Lantern Entertainment LLC. All Rights Reserved.

エジソンの直流は、遠くに届かないけれども、動力としてモーターを動かすことができました。一方、テスラの交流は、遠くに届くけれども、プラスとマイナスが速いスピードで入れ替わるため、モーターを動かすためのタイミングをとるのが難しいという問題がありました。交流において、電流を損失なく効率良く送り届けたり、モーターの回転数を一定にしたりするためには、「電圧」と「周波数」を一定にしなければなりません。実は、この一定にする技術は、今でも難しく、停電になってしまう原因は、この両者を一定にできないために生じているのです。テスラは、このような難しい問題を発明によって解決していき、ウェスティングハウスのサポートを受けながら発展させていくことになりました。

4.なぜ〈電流戦争〉で交流が勝てたの?

電気を使いたい人が増えていくとともに、より遠くの町から町へと電気を送らなければならなくなり、交流が採用されるようになっていきました。そして、シカゴ万国博覧会の成功もあり、エジソンの直流ではなく、テスラの交流が急速に採用されるようになったのです。

5.今使われている電気は直流?交流?

実は、今使われているパソコン、携帯電話は、直流で動いています。太陽光発電は、直流の電気を生み出しています。バッテリーは、直流でなければ充電できません。充電するとき、ケーブルについている大きい箱が交流を直流に変換する魔法の箱(コンバータ)です。

また、私たちの身の回りの製品では、インバータを使って、直流を交流にすることもしています。そして、エアコン、電車、エレベータ、照明などでは、コンバータやインバータを使って、交流と直流を行ったり来たりさせながら、風量や温度の調整をしたり、急に揺れないよう加減速を調整したり、光がチカチカしないように調整したりする、などの制御を行っています。もちろん、パソコンもインターネットによる通信も同様です。

このように、私たちが安心で快適な社会を過ごしているのも、実は、エジソンの直流とテスラの交流の技術を融合しているからこそなのです。そういう意味では、現代において、もはや直流か交流かといった争いもなく、勝者も敗者もいないのです。

6.今後の電気の未来はどうなる?

電流戦争でも大きなテーマであったどうやって電気を配るかということが、今後さらに発展していくのではと考えられています。例えば、電気が高密度に入ったカプセル、言わば強い電池のようなものがドローンで各家庭に配られるようになるかもしれません。また、テスラがやろうとしていた、無線送電の技術をより進歩させることによって電線をなくしてワイヤレスですべての電気が届けられるような未来が来るかもしれません。そうすると災害のため停電してしまった地域もそうですし、まだ電気が届いていない地球上のどの場所にも、平等に電気を届けることが可能になるのです。

今やわたしたちの生活に必要不可欠な電気という存在。それはたった130年前に天才たちが繰り広げた電流戦争によって生み出されました。いわば電流戦争は現代社会を形成する基盤を作ったのです。『エジソンズ・ゲーム』を見て、私たちの生活を作った“天才たち”、当たり前になっている“電気”に対して思いを馳せるのもいいかもしれません。

解説:岩尾徹
東京都市大学理工学部電気電子通信工学科
電力エネルギー・環境分野 電力機器・計測制御ユニット
大電流エネルギー研究室 主任教授

Writer

THE RIVER編集部
THE RIVER編集部THE RIVER

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