【仮説】なぜ『スターウォーズ エピソード7 フォースの覚醒』に登場するクリーチャーは魅力が少ないのかを考える
始めに、というかもうスターウォーズ関連の投稿の度に前提として申し上げていますが、筆者はスターウォーズ/エピソード7の熱心な擁護派です。以下に批判めいたことを書きますが、大好きな映画であるからこそ、些細な粗が気になっているというだけの話ですし、表題のような魅力の過多は、主観的なものです。ただの一個人の一意見ですので、あまり目くじらを立てず、銀河系のような広い心でお読みください。
筆者の趣味は映画鑑賞の他に、映画関連の玩具、主にフィギュアを収集することです。暇さえあれば、東京都内あちこちのUSトイショップなどに足しげく通う日常を送っています。そして最近、というか結構前から気になっていることがあります。それは、「エピソード7関連のフィギュアがあんまり売れていないのではないか」という点です。もちろん、他のハリウッド映画関連の商品からすると、そりゃスターウォーズですから圧倒的に売れているのかもしれませんが、何となく行きつけのお店の在庫量、そして該当商品の値下げ幅や値下げになるスピードなどを勘案すると、メーカーやショップが期待するほどには売れていないのだと感じます。筆者自身も、エピソード7は何度も劇場で鑑賞した、大好きな映画であるにも関わらず、エピソード7関連のフィギュアはあまり欲しいと思いません。自分でもこれがとても不思議で、オリジナルトリロジーに登場したクリーチャーの玩具やフィギュアは、ほぼ全種族何らかの商品でコンプリートしているほどなのですが。
エピソード7の監督、JJエイブラムスは、スターウォーズの魅力の一端は「多彩なクリーチャーの存在」であることをちゃんと把握しており、それこそ種類だけは十分な数のクリーチャーがエピソード7には登場しています。つまりこれは単純に、この作品に出てくるクリーチャーが筆者にとって「魅力がない」ということなのでしょう。筆者と同じようなことを感じている方が、ネットを散見すると少なからずおられるようで、それぞれ自論を展開されていますが、一番多い論調としては、前作のクリーチャーや世界観をデザインした巨人たち、ラルフ・マクォーリーやフィル・ティペットたちの力量と、今作のデザイナーの力量を単純比較し、前者を持ち上げ、後者を落とすようなものが多いのですが、この項はそういうことは置いといて、エピソード7のクリーチャーを例にとり、より具体的に人間にとって「魅力的なクリーチャーのデザイン」とは何か、というちょっと大仰なことを考えてみて、筆者なりの仮説を立てたいと思います。
魅力的なクリーチャーとは何か
これは何もスターウォーズに限った話ではありません。例えば他のSF映画に登場した人気クリーチャー、E.T.やグレムリン、またはジブリアニメのトトロやコダマ、ひいてはディズニーやピクサーのアニメーションに登場するクリーチャーまで、人気が出るクリーチャーには何か一貫した共通点があるのでしょうか?結論から申しますと、筆者はこの問題には、ノーベル賞動物学者ローレンツが提唱した「ベビーシェマ」と、「生得的解発機構」が大きく影響しているのではないかと考えます。
何のことやら判らないと思いますので簡潔に説明しますと、人間には生まれつき「赤ちゃんのようなものが愛おしい」と思う本能が備わっているという話です。多くの人にとっては、人間の赤ちゃんだけでなく、動物の赤ちゃん(特に哺乳類)も「かわいい」と思いますよね?
ローレンツは、「大きな頭」「大きな目」「丸い頬」「目と目の間が離れていること」「目鼻が顔の低い位置にあること」そして「ずんぐり丸い体形」これら赤ちゃんの容姿の特徴をまとめて「ベビーシェマ」と名付け、人間はこれらの特徴を持つものを見たときに「保護本能」が反応し、「かわいい」「守りたい」それがひいては「なんだか魅力的」と認識するというのです。(筆者的にはこのベビーシェマの中でも「大きな目」というのが最重要ポイントではないかと考えています。)
このベビーシェマ保護本能、人間以外の動物にもちょっとはあるらしいですが、人間の場合は特に強いらしく、その理由としては人間の赤ちゃんや幼児が、他の動物に比べて一人で行動できるようになるのに時間がかかるので、周りの人間が率先して赤ちゃんや幼児を守るように、種族保存のためDNAがその本能を強化したのではないか、と言われております。
話が少し横にそれますが、よく異性を「かわいい」と「きれい(かっこいい)」という2ジャンルに自分の中で分けたりしますよね?この2ジャンルの分類法、何か明確な基準があるわけではなく、「なんとなく」っていう感覚的なものだと思うのですが、筆者的には「かわいい」と分類したグループは、このベビーシェマが大きく関わっていると思っています。「かわいい=守りたい=魅力的」というわけです。
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