それでもあなたは恋をする?一味変わった名作恋愛映画『エターナル・サンシャイン』のススメ
本格的な寒さが近づき、どこか人肌が恋しくなる時期となりましたね。
今まさに幸せな恋愛をしている方、失恋してしまって傷心中の方、いやもう恋なんて興味がないという方でもいいです。この映画を見ればきっとあなたはまた一つ恋愛の素晴らしさに気づくはず。私にとってこの作品が人生ベスト恋愛映画です。ご覧になった方も多い作品だと思いますが、まだ観たことがない方のためにも、ミシェルゴンドリー監督の傑作恋愛映画『エターナルサンシャイン』の魅力をお伝えします!
[youtube https://www.youtube.com/watch?v=h4QXNYSAL_Y&w=560&h=315]
ジョエル(ジム・キャリー)は恋人のクレメンタイン(ケイト・ウィンスレット)と喧嘩別れをしてしまい、彼女は手術を行い、自分との記憶を全て消してしまったと知ります。その事実を聞いた彼は怒り、自分も記憶を消して彼女との関係をすべて断ち切ろうと決意。しかし消えていく記憶の中で彼の気持ちは変わっていき…というお話です。
終わりから始まる「ラブストーリー」
失恋した時、誰もが一度はこう思うでしょう。「あの時出会わなければこんなに辛い思いをせずに済んだ。二人の記憶を消せればどんなに楽だろう。」でも本当にそれでいいでしょうか。別れることに決めた直後はそれが正解と思えるかもしれません。しかし二人の楽しかった思い出やな時間を過ごした事実まで消す事が幸せにつながるのでしょうか。そこまで辛いと思えるということはそれだけ大きな幸せがあったはずです。
この映画は主人公の恋の終わり、そして記憶を消去する決意をした時から始まります。
主人公のジョエルは彼女が記憶を消したと知り、「自分も記憶を決してやると!」とやけになって病院に駆け込みます。勢いに任せて手術を決めた彼ですが、消えていく記憶の中、冬の凍った川での初デートの時の気持ちを思い出して気づくのです。「この記憶だけはどうか消さないでほしい!」感情の高ぶりで行動してしまった彼はここで初めて、すれ違い喧嘩して別れを決めたことは事実だが、かけがえのない幸せな時間が確かにあったことも事実だと実感しました。彼の思い虚しく記憶の消去は淡々と進んでいきます。恋の終わりを見せられているうえで、その始まりから振り返っていくという展開には多くの人が心をしめつけられるのではないでしょうか。
主人公とヒロインが運命的な出会いを果たし、何度か困難にぶつかるが二人で乗り越え、いつまでも幸せに暮らしました。といったありきたりなラブストーリーに飽き飽きしてしまった方は、ぜひおすすめです!
恋する気持ちは理屈じゃない!
消えていく楽しかった思い出の中で、本当に彼女を愛していたと再認識した彼。自分と彼女はなぜ別れることになってしまったのか、改めて振り返るとそれが嘘に思えるように過去は今でも美しく輝いていたのです。幸せが当たり前のように溢れている中ではその幸せに気づくことはどうしても難しいものですよね。
別れることになってしまって昔を振り返った時、自分は本当に幸せであった、お互いに愛していたと思えたのならその恋は素晴らしいものだったのでしょう。ジョエルのようにその恋愛の素晴らしさに改めて気づくことができたのであれば、後悔だけではなく相手に感謝することができ、新たな一歩が踏めるはずです。
一見するとまったく性格が合わないようなジョエルとクレメンタイン。二人もお互いに最初はそんなことを感じていたはずです。それでも恋に落ちてしまったこと。理屈で考えるとうまくいかないと思っていても自然と二人は惹かれあってしまっていました。「恋を始める時、うまくいくかいかないかなんて考える必要ない!」この映画を通してそんなメッセージを感じられます。ラストシーンを見ればあなたもジョエルの立場に自分を置き換え、理屈なんてない純粋な恋愛の素晴らしさを考えることになるはず!
映画でしか表現できない「記憶の世界」〜ミシェルゴンドリー監督〜
この映画のスゴイところの一つに映像表現があげられるでしょう。真っ暗な場所で懐中電灯で人物だけを照らすことで、曖昧な夢の中を表現したり、記憶が入り混じることで部屋の中で雨が降り始めたり、見ていてまったく飽きない映像の連続です。
監督のミシェルゴンドリーはできるだけCGに頼らずにリアルな映像を求めることで有名な方で、一つ一つのシーンに監督のアイデアが詰め込まれています。今の技術を使えば現実ではありえないあっと驚くような映像が作れてしまうのは事実ですが、ミシェルゴンドリー監督のアナログに対するこだわりが、斬新ながらも温かみのある作品を作り上げているのです。CGに慣れてしまった今こそこういった昔ながらの手法をつかった映像は素晴らしく感じるはずです。
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