『プレデター対メカゴジラ』?アフリカ産アウトサイダー芸術な映画ポスターが色々5割増でアツい
1980年代半ば、フランク・アーマー(Frank Armah)という人物が、アフリカのガーナで映画上映用のポスターを描きはじめたそうである。
彼がポスターを描くにあたって与えられたミッションはただ一つ、より多くの客が映画を観に来るようなポスターにしてほしいということだけだった。彼はその要望を踏まえて、人々がより興味をそそられるようなインパクトのあるポスターを描き続けた。
そして彼は後にこう言っている。「ポスターを描く際に映画の本編をまだ観ていない場合も多かったから、ポスターは大いに想像で描いていたんだ、だから時にはポスターが、その映画よりも大胆になってしまうことがあったんだよ。」
ポスターを描く際に事前に映画を観ることが出来ない理由のひとつには、西側のアフリカ諸国の農村部では、未だに電気のない生活を送る村々が少なくないという背景もあったようである。そして映画上映とは言っても映画館のようなものではなく、多くの地域ではモニターとビデオデッキとVHSのビデオテープを積んだ移動車が村々をまわるというものだったのかもしれない。
その後、1980年代と1990年代にアーマーや他のガーナのアーティストたちが描いた映画ポスターが、近年になってから欧米で大いに話題を呼び、ここ10年ほどの間に何冊かの画集にもなっているほど、ポップカルチャーとして比較的メジャーな存在となっているようなのである。それらは今や貴重なコレクターズアイテムとして、インターネット上のショップやギャラリーなどでは高値で取引されているという。
彼らの作品は前述のように大いに想像に頼っている部分があるため、とても独特で奇想天外、ある意味ではパロディ作品としても捉えられるような作風である。しかしガーナで描かれた映画ポスターは決してパロディなどではなく、いたって真剣で真面目に描かれたアウトサイダー芸術的側面を持っており、その映画の枠を超えたより有機的な表現として、映画の世界を具現化したものになっている。
その幾つかの作品をここで取り上げてみたい。
ポール・W・S・アンダーソンの『エイリアンVSプレデター』(Alien vs. Predator、AVP)
ウィリアム・フリードキンの『ガーディアン/森は泣いている』(The Guardian)

記憶だと確かにこんな感じの映画だったとは思うが、迫力がスゴすぎる。何となくのイメージ写真を見せられて描いているのか、あるいはあらすじだけで想像して描いているのかは定かではないが・・・。手前のチェーンソー男は劇中に登場するフィル・スターリングかもしれないが、雰囲気は完全にイカれたサイコキラーである。ちなみにフィルは殺人鬼役ではないし、こんな体型でもあんなおかしな顔でもない。いろいろな意味で5割増しにはなっている。
トム・ホランドの『チャイルド・プレイ』(Child’s Play)
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