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マーベル『エターナルズ』も中国では公開されない可能性 ─ 『シャン・チー』も未公開

エターナルズ
(c)Marvel Studios 2021

飛ぶ鳥を落とす勢いのマーベル・スタジオには近頃、大きな懸念が生じている。アメリカと並ぶ映画大国となった中国において、作品の上映が確約されない状況が続いているのだ。

The Wall Street Journalは2021年10月10日付で、「ディズニー、中国での映画公開で障壁」と題した記事を掲載。『シャン・チー/テン・リングスの伝説』や最新作『エターナルズ』の中国配給が未だに認められていない事態を危惧している。

不和のきっかけとされるのが、2020年の『ムーラン』。古代中国の伝説をモチーフにした1998年の名作アニメを実写化した映画だったが、人権問題が指摘されている新疆ウイグル自治区でロケ撮影が行われたということや、主演女優が香港警察を支持する発言をしたことなどで激しいバッシングに遭った。ハリウッドの映画業界と中国検閲との間の緊張感が高まっていると、The Wall Street Journalは見ている。

マーベルの『シャン・チー』はシリーズ初のアジア人ヒーロー単独作で、キャストや物語の舞台も中国を含むアジアが主体。9月に世界公開されたものの、製作側にとって本命だったであろう中国は、未だに上映を認めていない。同じく、11月公開予定の『エターナルズ』中国公開予定も白紙である。伝えられるところによると、ディズニー側は中国当局へ作品を提出して審査を依頼しているものの、『エターナルズ』を含むいくつかのタイトルは未だ返答が得られていないという。

もっとも、当局の検閲にはやや不透明なところもありそう。報道によると、ディズニーの『フリー・ガイ』や『クルエラ』はわずか2〜3日で承認され、一方で『G.I.ジョー:漆黒のスネークアイズ』や『スペース・プレイヤーズ』は米公開から数ヶ月経ってもなお審査されていないという。中国の映画局に人事再編があり、審査に時間がかかっているらしいとの情報もある。

『エターナルズ』においては、監督のクロエ・ジャオが過去に中国を批判する発言をしていたことが取り沙汰された。ジャオは『ノマドランド』でアジア人としては初めてアカデミー賞作品賞・監督賞ほかを獲得する歴史的快挙を成し遂げたが、中国では『ノマドランド』はおろか、受賞ニュースごと黙殺されている状況。このままの状況であれば、『エターナルズ』も中国では葬られる可能性が高い。

ちなみに、中国が海外映画の全てを締め出しているわけではない。『DUNE/デューン 砂の惑星』は10月22日に、『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』は29日に封切られる予定だ。

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Source:The Wall Street Journal

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中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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