キャプテン・アメリカ役クリス・エヴァンスが語る演技向上術 ─ 「尊敬する俳優と自分を比較する」「セリフを頼りすぎない」

マーベル映画のキャプテン・アメリカ役で知られるクリス・エヴァンスは、キャリア初期の苦労をしばしば隠すことなく語る。いわく、オーディションの95%は不合格だったとか、ライアン・ゴズリングと役を争って敗れたことがあるとか、オーディションを受けるたびに自分は俳優に向いていないのではないかと思わされたとか……。
そんなエヴァンスも、今ではハリウッドのトップスターである。成功をつかむまでに、エヴァンスはどう演技を研究していたのか? 米Backstageでは、“自分の好きな映画やドラマの脚本を手に取る”という方法を薦めている。最初のシーンに目を通してから、「次のシーンを自分が演じるならどうするか、演技の計画を立てる」のだ。それから実際の作品を観ることで、どのように演じられているのかを確認するのである。
「尊敬する俳優がどんなふうに演じているのかを分析することほど、俳優として驚かされることはないと思います。演技の力を鍛えるために、自分の選択と、別の俳優の選択を比較するということです。少なくとも、どんなセリフであれ、別の可能性があることを思い知らされるでしょう。」
エヴァンスが印象に残っていると語るのは、『エンジェル・アイズ』(2001)で見せたジム・カヴィーゼルの演技だ。いわく、カヴィーゼルは脚本に書かれたセリフとは直接繋がらないアプローチを時折取り入れながら、同時にセリフの力を損なうこともしていなかったというのである。ここからエヴァンスは、演じるという行為の創造的自由と、セリフに忠実であることが必ずしも正しいわけではないことを学んだという。
「言葉がその人をきちんと表すわけではないですよね。たとえば日常生活の中にカメラを置き、自分と友達の会話を記録して、そこから脚本を書き起こしてもらい、それを半年後に見たらどうなるのかなと思います。自分で(過去の)自分自身をきちんと演じることができるのか、書かれた言葉は自分のすべてを的確に表しているのか。そこは怪しいところですよね。
言葉を頼りすぎるのは俳優にありがちな失敗だと思います。役柄と言葉の間には溝があるもの。だから、もっと広い視点で考えるべきなんですよ。自分たちはどんな物語を語ろうとしているのか、自分の役柄はテーマにどう組み込めるのかって。」
ちなみにエヴァンスは、インタビューの中で「演じるということは、人間性に共感すること」であるとも語っている。「他人が物事をどんなふうに経験しているのかはわからない。それを受け入れ、共感を働かせて、他者の経験と自分の経験の共通点を探ろうとすることです」。
Source: Backstage