この記事には、『エクスペンダブルズ ニューブラッド』のネタバレが含まれています。

『エクスペンダブルズ ニューブラッド』スタローンが一時退場？

『エクスペンダブルズ ニューブラッド』はその副題が示す通り、新たな血（ニューブラッド）へと橋渡しされるような性質の作品となった。これまでシルベスター・スタローンやアーノルド・シュワルツェネッガー、ブルース・ウィリスといった往年のハリウッドアクションスターが大共演を果たしたこのシリーズは、現役バリバリで大活躍するジェイソン・ステイサムへと主役の座が譲り渡される。

『ニューブラッド』冒頭は、スタローン演じるバーニー・ロスと、ステイサム演じるリー・クリスマスの掛け合いと共に立ち上がる。エクスペンダブルズ一同は序盤でテロリスト相手にリビアでの戦いに挑むが、激しい戦闘の中でバーニーが乗る戦闘機が被弾。爆発炎上した機内からは丸焦げになった遺体が発見される。指にはバーニーのものである指輪も残っていた。

盟友バーニー死亡に心を痛めるエクスペンダブルズだが、その殉死の責任を咎められたクリスマスはチームから追放処分に。以降、物語は単独行動を取るクリスマスと、潜入ミッションに挑むチームの二軸で展開される。

ところがクライマックスでチームがピンチに陥れられると、バーニーが駆けつけ、死は偽装だったことが発覚して物語は丸く収まる。この映画の大部分で、シリーズの立役者スタローンは不在となっているのだ。

スタローンは2010年の第1作『エクスペンダブルズ』で監督・脚本を務めると、続編『エクスペンダブルズ2』（2012）、『エクスペンダブルズ3 ワールドミッション』（2014）でも脚本にクレジット。一方、今作『ニューブラッド』では出演のみにとどまっており、創作や製作は全て他者に委ねていたのだ。

スタローンの登場場面が少なかったことについて、監督のスコット・ウォーは「スタローンがステイサムにバトンタッチするという考えはエキサイティングだと思います」と、その背景を米ScreenRantに語っている。「スライ（※スタローンの愛称）にとって、人生の中で時間が超貴重な時期にいらっしゃるんだと思います。『エクスペンダブルズ』映画全作をやり切ることは、彼にとっては多くの時間を費やすことで、僕はその点を十分に尊重しています」。

さらにウォーは、「スタローンにはいまだに驚かされます。あの年齢で、あのフィジカルですもん。いまだに信じられないくらいです。僕なんて53歳で、もうボロボロなのに、彼はどういうわけか70代後半であんなに動けるんです」と、77歳にもなるスタローンの加齢についても語っている。シリーズ開始から約13年、スタローンとていつまでも満身創痍のスーパーアクションが続けられるというわけでもない。

「ジェイソンと僕は同い年なのですが、まだまだ働けることにワクワクしています」と続けるウォーは、バトンタッチは「自然な流れ」と説明する。「今だから言いますが、スライはこのシリーズから外れたとは絶対に思いません。スライはいつだってこのシリーズの一部です。彼こそが『エクスペンダブルズ』を始めた人物であり、オリジナル版の監督でもある。だから、ニューブラッドとオールドブラッドが混じっているってことですよ」。

映画『エクスペンダブルズ ニューブラッド』は公開中。