【ネタバレ】『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』出産を描くヒーロー映画 ─ ヴァネッサ・カービー「母親とは何かを学んだ」

この記事には、『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』のネタバレが含まれています。

『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』にて、スー・ストームは、科学者である夫、リード・ストーム(ペドロ・パスカル)との間に待望の子どもを授かる。自分たちのDNA変異が子どもに受け継がれている可能性を危惧しながらも、お腹の子どもを愛おしい眼差しで見つめ、また並行してチームとしての任務にも向き合うスー。そんな彼女の人となりを、スーは「多くの要素が混ざり合った存在でした。明白に、深く、母性的で深く愛に満ちていて、驚くほど安定している一方で、激しい性格でもありました」と捉えている。また、そこから「母親とは何か」を学んだのだという。

スーパーヒーロー作品に限らず、映画での出産シーンは、決してしょっちゅうある光景というわけではない。しかしスーの宇宙での出産シーンを脚本で読んだ際に、カービーは大きく感銘を受けたそうだ。
「映画の中盤で、この女性が出産するシーンを中心に置いて、彼女がそこに挑む間、彼女を支える3人の親切で愛に満ちた男性たちを描くということは、本当にクールだと思いました。スーパーヒーローが、これほど原始的で至極人間的なことをするのを見るのは、本当にクールでしたし、そのシーンが一番楽しみでした。」
カービーは2020年の映画『私というパズル』でも出産シーンを演じた経験があるが、『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』では宇宙空間ということもあり、無重力下での撮影は大きな試練だった模様。「撮影終了時には声が出なくなっていました。画面には数シーンしか映っていませんが、何百回もやって、終始叫び続けていましたね。最後にはスタッフは耳栓を着けなくちゃいけなかったかもしれません」と振り返る。それでもなお、「撮影は本当に美しいもので、あの俳優たちから大きなサポートを感じていました」と共演者たちへの感謝を述べている。

スーが出産したフランクリンのへその緒をザ・シング(エボン・モス=バクラック)が切り、リードは父親に、スーの弟であるジョニー・ストーム(ジョセフ・クイン)は叔父になる。立場は異なれど、フランクリンに対面した三者の見せる表情は慈悲に満ち溢れ、観客の心を大きく動かすものだ。
カービーも「この赤ちゃんをこの家族の中心に置き、あの男性たちを叔父や父親として描くことが、私たちにとっては重要でした」と言及するように、マーベル・スタジオのケヴィン・ファイギ社長もフランクリンの存在が意味するものを以前に語っている。「子どもが家族を、そして夫婦をどう変えていくのかを私は語りたかったのです」。
そして、母親としての愛情と怒りが、スーを世界救済に駆り立てたのだと、カービーは加えている。
「より原始的な感情を表現したかったんです。“みんなのためにこの敵を倒してやるんだ”というよりは、“自分の子どもを守るために戦っているんだ”という感じで。スーは、とても柔らかい、女性らしさも体現していると理解した上で、女性性というものがいかに激しいかをうまく取り入れたかったんです。」

現在カービーは実生活でもパートナーのポール・ラビルとの子どもを妊娠中。お腹のふくらみを手でさすりながら『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』のプロモーションにも臨んでいたが、実際に母親となることでカービーにどのような心境の変化が訪れるだろうか。2026年公開予定の『アベンジャーズ/ドゥームズデイ』でのスー役の再演が楽しみに待たれる。
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Source:Variety