『ワイルド・スピード』最終回、実はまだスタジオ承認降りていなかった ─ 製作に暗雲、キャスト大半は出演契約も結んでおらず

エンストか?『ワイルド・スピード』映画シリーズ最終回となる第11作について、実はいまだにスタジオからの承認が降りていない状態であったことが判明した。米The Wall Street Journalが報じた。
『ワイルド・スピード/ファイヤーブースト』(2023)に続く続編にして、“ファスト・サーガ”堂々の完結作だ。もともと本作の進捗は不可思議なところがあった。主演・製作ヴィン・ディーゼル個人がSNSやイベントを通じて製作や公開スケジュールを示唆し続ける一方、正式な情報はプレス向けにほとんど伝わっていない様子だったのだ。
これまでディーゼルは単独で、スタジオと協議を続けている旨や、2027年4月に公開予定であること、故ポール・ウォーカーが演じたブライアン・オコナーが再登場すること、撮影が開始されていることなどを伝えていた。一方このたび報道されたところによると、ユニバーサル・ピクチャーズはまだ本作の脚本も公開日も承認しておらず、さらにキャストの大半は出演契約すら結んでいないという。
これは、『ファイヤーブースト』で悪役ダンテを演じたジェイソン・モモアが再演について「脚本をもらっていないので、すぐにとはいかない」と話していたことと符合する。
スタジオが二の足を踏んでいる理由は、シリーズ興収成績の低迷だ。本作の世界興収は2015年の『ワイルド・スピード SKY MISSION』がピークであり、『ファイヤーブースト』はスピンオフ含めた全11作中6番目となった。同作は製作費およそ3.4億ドルに対し、世界興収7.1億ドルと厳しい結果となっていたのだ。
報道によれば、現時点で最終作の製作費は2.5億ドルになる見積もり。スタジオ側は、これが2億ドル程度に圧縮できない限りゴーサインを出さない構えという。現在、ロケーションの限定や、一部のキャストの役どころを縮小するなどの経費削減法が協議中とされる。
なおスタジオは今後、『ワイスピ』をより“低燃費”走行させる方法を模索しているようだ。すでに実写テレビシリーズ脚本が執筆中で、他にもスピンオフ作品や、簡素化させた低予算映画について協議を進めているという。
“ファミリー”を想うディーゼルは、『ワイルド・スピード』最終作で派手に駆け抜けたいはずだ。舞台をシリーズの原点ロサンゼルスに戻し、「ファミリーが全てだと信じてくれるすべてのファンのために。俺たちが作っている次回作は、みんなのワイスピ愛を讃え、みんなをこれまでにない場所へ連れて行く」とシリーズ愛を語っていたディーゼルだが、ますはスタジオからイグニッションキーを受け取る必要がある。
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Source:The Wall Street Journal