【ネタバレ解説】『ファンタビ』ダンブルドアの伝言、『ハリポタ』セドリック追悼スピーチから着想か

この記事には、『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』のネタバレが含まれています。

『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』では、グリンデルバルドが「より大きな善のために」の危険思想を広め、勢力を拡大させ続けていた。グリンデルバルドの野望を阻止すべく、血の誓いにより彼との直接対決が禁じられているダンブルドア(ジュード・ロウ)は、国際魔法使い連盟の議長であるアントン・フォーゲルにグリンデルバルドへの適切な処置を求めた。そこでニュートに「簡単なことではなく、正しいことをしなさい」という旨のメッセージを託す。しかし、結局フォーゲルはグリンデルバルドの無罪を言い渡し、さらには国際魔法使い連盟の次期リーダーへの追加出馬まで認めてしまった。

ダンブルドアは『ダンブルドアの秘密』の時代から約60年後に開催された三大魔法学校対抗試合で起きた悲劇の後にも、同様の言葉を投げかけていた。その悲劇とは対抗試合にホグワーツ代表として出場していたセドリック・ディゴリーの死だ。最終課題クリアの為のトロフィーをハリーと共に掴んだセドリックは、トロフィーに仕掛けられていたポートキーによりトム・リドルの墓地へと飛ばされる。そこで待ち構えていた復活直前のヴォルデモート卿に、セドリックは逃げる隙も与えられず殺されてしまったのだ。
その後、ホグワーツでは学校全体がセドリックを追悼する。追悼の言葉、そしてヴォルデモート卿復活への警告として、ダンブルドアは悲しみに暮れる生徒に対し、このような言葉を投げかけている。「セドリックを忘れるでないぞ。正しきことと易きことのどちらかの選択を迫られたときは、思い出すのじゃ。一人の善良な、親切で勇敢な少年の身に何が起こったかを」。
小説版『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』で登場した「正しきことと易きことのどちらかの選択を迫られたとき」というセリフは、原文だと「we must all face the choice between what is right and what is easy」となっている。一方、『ダンブルドアの秘密』でダンブルドアが託した「簡単なことではなく、正しいことをしなさい」というメッセージは英語で「Do what is right, not what is easy」とされており、ほぼ一致。この共通点は、史上最も偉大な魔法使いと呼ばれるダンブルドアの揺るぎない信念を象徴しているようだ。
ちなみに『ダンブルドアの秘密』では、アバーフォース・ダンブルドアの発した一言が『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2』(2011)で登場したセブルス・スネイプの名ゼリフと一致するなど、『ハリー・ポッター』との共通点はほかにもある。『ファンタビ』シリーズでは原作者のJ・K・ローリングが脚本を手掛けていることもあり、もしかするとこうした共通点は“全てを知る”ローリングによる意図的な演出なのかもしれない。
『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』は公開中。