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【ネタバレ】『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』ラストシーン解説 ─ 製作陣が挑んだ、マーベル・シネマティック・ユニバース史上最大規模のリスクとは

スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム
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この記事には、『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』のネタバレが含まれています。すでに作品を鑑賞された方向けの内容となりますのでご注意下さい。なお、このページをSNSにてシェア頂く際は、記事内容に触れないようお願い致します。


ついにニューヨークをスイング、悲願のラストシーン

スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム

『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』ラストおよびミッド・クレジット・シーンでは、ニューヨークの摩天楼をスイングするピーターが、待ち合わせていたMJを連れて空中デート。スパイダーマンといえばニューヨークの高層ビル群の合間を華麗にスイングする姿がお馴染みだが、前作『スパイダーマン:ホームカミング』(2017)ではその機会がなく、また『ファー・フロム・ホーム』でも大部分の舞台をヨーロッパに移していたため、意外にもMCUではこのシーンが初となった。これは、制作陣にもとって悲願だったという。プロデューサーのエイミー・パスカルが米Comicbook.comに語っている。

「やっと、最後に見られましたよね。ケヴィン(・ファイギ、マーベル・スタジオ社長)と私が一緒に話し合いを始めた当初、『ホームカミング』で彼をニューヨークでスイングさせるのはやめようというルールがあったんです。でも、ついにニューヨークのスイングを見られるようになったんですよ。最高のシーンだったでしょう?」

ニューヨークをスイングするという「定番」をあえて「とっておき」にしたのは、やはりそれなりの理由があるのだろう。『ホームカミング』ではワシントンに、『アベンジャーズ』2作では宇宙に、そして『ファー・フロム・ホーム』ではヨーロッパにと、地元ニューヨークからさんざん離しておいた末に、ついに摩天楼を飛ぶ。「こうしてニューヨークに戻るというのは、”オーケー、原点回帰だね”という感じ。映画の最後にスパイダーマンがスイングして、建設中のアベンジャーズ・タワーの間をウェブ・ウイングで滑空する姿を見られるなんて、なんて最高なんだろう」と、ケヴィン・ファイギもその意図を語る。

ところで、サム・ライミ版『スパイダーマン』3部作では、映画の最後にスパイダーマンがニューヨークの街を飛び回るのが定番だった。エイミーは『ファー・フロム・ホーム』を観て、ライミ版第1作『スパイダーマン』(2002)のラストで星条旗に止まったスパイダーマンに覚えた「爽快感」を思い出したという。

『シビル・ウォー』再読だ

『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』エンディング映像の中間に挿入されたミッド・クレジット・シーンでは、まさに劇場の座席からずり落ちるほど驚きの展開が見られた。デイリー・ビューグルのJ・ジョナ・ジェイムソン役として、サム・ライミ版3部作で同役を演じたJ・K・シモンズがまさかの登場を果たしたのだ。

シモンズ再登場の裏側

その後、ミステリオが残した映像によってスパイダーマンの正体がピーター・パーカーであるという秘密がバラされてしまう。J・K・シモンズの姿につい気を取られてしまいがちだが、この展開もかなり衝撃的だ。

ここではピーターが”What a fu**!”と言いかける瞬間に映像が終わるわけだが、これは『アイアンマン』(2008)でトニー・スタークが自ら正体を明かすラストや、前作『スパイダーマン:ホームカミング』(2017)でメイおばさんに正体を見られてしまうラストへの二重リフレインでもある。ただし今回は、本人にとって不本意な形で、そして身内ではなく全世界に正体がバレてしまったわけだから大ごとだ。今後のストーリーにもかなり大きな影響をもたらすだろう。

さて、ジョン・ワッツ監督はこれからどうする?あくまでも現時点で『ファー・フロム・ホーム』に続く『スパイダーマン』第3作の製作や、ワッツの続投が正式に決定しているわけではないものの、監督は今から頭を抱えてしまっている様子だ。米ScreenRantに打ち明けている。

「ピーターが自分の正体を明かす展開って、『シビル・ウォー』でありましたよね。これ、宿題として対処しなくちゃ。自分で自分の首を絞めちゃった感じ。またアーカイブを当たらないと。」

ここで監督の言う『シビル・ウォー』とは、2016年の公開作『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』ではなく原作コミックのこと。超人登録法をめぐって分裂したスーパーヒーローの中で、スパイダーマンは記者会見で自らマスクを脱いで正体を明かし、同法の支持を表明していたのだ。これは映画版『シビル・ウォー』には取り入れられなかったものだが、全世界に正体を晒したピーターを描く上で参考にすべき作品であることは間違いない。

それにしても大胆な展開を取り入れたわけだが、ワッツ監督は別のインタビューで、その挑戦意図を語っている。「本作の目標は、最もダイナミックで楽しい経験をもたらすこと。もしもそれがクレイジーなクリフハンガーをやることなら、たとえ自分の首を絞めたとしても、やるしかないと。

※クリフハンガー:物語を盛り上げておき、結末を見せないまま終了させること。

脚本家にとっても、気の引き締まる挑戦だった。本作でペンを執った1人のクリス・マッケナは米SYFY WIREに対し、「彼ら(スタジオ側)には、リスクを高める方法を考えろ、と言われました。リスクを高めろ、ですよ」と打ち明ける。「それで、(スパイダーマンの正体が暴露されるという)アイデアが浮かんだ時は、みんなが“いや、それはリスクが高まりすぎだ”と言いました。本当に必要なことなのか、と。そんなことをしたら、もうピーターも物語も後戻りできなくなってしまいますから。」

結果として製作陣は、「リスクが高まりすぎ」と言われようとも、自分で自分の首を締めることになろうとも、その危険なアイデアを堂々と採用してみせた。マッケナは、「怖いってことは、それはやるべしってことですよ」と言う。つまり、チャレンジャー精神の塊だったのだ。さあて、もう後戻りはできない。今後はどうなる?ワッツ監督は、「これからどうしていくかというアイデアは、しっかりあります」と説明しているが……。

映画『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』は公開中

『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』公式サイト:http://www.spiderman-movie.jp

Source:ScreenRant,Comicbook.com,SYFY WIRE,Collider

Writer

中谷 直登
中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER編集長。ライター、メディアの運営や映画などのプロモーション企画を行っています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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