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パイ・パラダイムをぶっ壊せ!カナダの映画人が叫ぶ『パイ・ルネサンス』かつてパイは壮大な叙事詩であった!

Pies are Awesome

一般的な日本人にとって、「パイ」というのはあまり馴染み深いものではないと思う。

ちなみにパイと言っても、数学や化学にでてくる「π」とか、女性の乳房のことではなく、小麦粉とバターなどから作った生地に、甘く煮た果実やナッツ、肉などを包み込んでオーブンで焼き上げたあのお菓子や料理のことである。


みなさんは、パイはお好きですか? パイってよく食べますか?

Apple Pie
By Scott Bauer, USDA ARS [Public domain], via Wikimedia Commons

もう亡くなったぼくの祖母は料理が上手で、両親が共働きだったぼくは毎日祖母の料理を食べて育った。祖母は大正の生まれで90歳まで生きたのだが、ずいぶん晩年まで料理をしていたし、食べることも大好きだった。最晩年に、妹の結婚式の披露宴に参加した際、ぼくの横に座っていた祖母は、食べることが好きなぼくでもずいぶん苦労するほどの量を誇ったフレンチのフルコースを、すごいスピードであっさりと食べ終えていた。しかも一皿一皿ごとに、いろいろなコメントまでブツブツと語っていた。

そんな祖母の作る料理は、まあ大正生まれということもあって昔ながらの日本の家庭料理も多かったのだが、和食にとどまらず、洋食や中華など様々な料理を作った。それこそ時には、アメリカ映画のワン・シーンのような夕餉を迎えることもあった。ハンバーガーとフレンチフライとか、様々な具が挟まれたサンドとか、野菜とチーズがたっぷり入った巨大なミートローフとマッシュポテトとフルーツたっぷりのサラダとか、ピザなんてこともあった。もちろん、すべて祖母の手製である、ハンバーガーのバンズもピザのソースも生地も。

そして祖母はお菓子作りも好きだったので、クッキーやドーナツやケーキなんかも頻繁に出てきた。クリスマスの日には必ず、祖母の作った三種類ものケーキがテーブルに並んだ。苺のショートケーキとブッシュ・ド・ノエルと、そしてパイである。だからぼくは当時、割りと日常的にパイというものを口にする機会が多かった。そして、大抵はアップルパイかパンプキンパイだった。007

一時期、デヴィッド・リンチの製作したドラマ『ツイン・ピークス』に傾倒していたぼくは、いつか祖母が、あのダブルR・ダイナーで出てくるようなチェリーパイを食卓に並べる日が来るんじゃないのかと思い待ちわびていたが、残念ながらその夢は叶わなかった。実家を離れてからずいぶんと時が経ち、この頃ではパイなんてめったに食べなくなってしまったけれど、時々、祖母のあのアップルパイのことを思い出す。

Twin Peaks
http://www.imdb.com/title/tt0098936/ – © 1990 ABC/Spelling Ent./CBS Paramount Domestic Television

 

さて、枕が長くなりすぎたが、今回はパイの話題に触れようと思う。

カナダのバンクーバーに在住するジェシカ・リー・クラーク(Jessica Leigh Clark-Bojin)さん、彼女の運営するウェブサイト Pies Are Awesome 『パイは素晴らしい!』が、パイ愛好家の楽園と化していて、確かに素晴らしいのである。

Pies are Awesome
https://www.facebook.com/ThePieous/

 

彼女の作るパイは、ただ単なる美味しい料理やお菓子としてのパイを遥かに超えていて、それはとんでもなくギークな、つまりオタッキーな自らの趣味趣向をコンセプトに掲げて、かつ様々な技巧とチャレンジを折り重なるようにして積み上げて、あるいはレゴ・ブロックのように組み立てて、作られているのである。そしてそのコンセプトとなるのは、SFだったりファンタジーだったりホラーだったり、他にも映画、ゲーム、コミック、おもちゃ、科学などなど様々。

彼女は言っている、”In the olden days (think Shakespeare time) pies were epic”、「かつてパイは叙事詩の流れのように壮大であった」と。かつてのパイは、特別な技術者によって様々に装飾され、そして王宮のテーブルにそびえ立っていた。つまり単なるお菓子や料理の領域を超えた特別なものだった。けれどいまの時代のパイは、ごくごく一般的な手軽なものに成り果ててしまっている。カントリー・フェアやおばあちゃんのテーブルに並ぶ肥しのようなものになってしまっている。しかし彼女は、そんなパイ・パラダイムを払拭しパイの栄光を今に取り戻すべく、日々特別なパイを作り続けているのだという。

意気込みからしてただのオタクではない、いや厳密な意味でのオタクとは本来そうあるべきであろう、流石である。中途半端なオタク気取りが恥ずかしくなるほどのアツい情熱に、感服さえする。ちなみに彼女は何者なのかと言えば、実はプロのお菓子職人でも料理人でもなく、フィルムメーカーでありデザイナーを生業としているそうである。ちなみに最近では『Charlotte’s Song』 や『Cheers to Death』 、あるいはTVドラマシリーズの『Animism』 などでプロデューサーを務めているそうである。

Jessica Leigh Clark-Bojin
http://www.imdb.com/name/nm4221937/

 

そんな Pies Are Awesome では、彼女が創り上げたスペシャルなパイの写真を、そのレシピやチュートリアルを踏まえつつ、毎週水曜日にアップデートしているそうである。そしてさらに自身のパイだけに留まらず、他の人々の創り上げた素晴らしいパイの紹介などもしているそうである、毎週月曜日に。一体いつ映画を作っているのだろうか・・・。

さてでは、ほんの少しだけ、ぼくがピックアップした彼女の素晴らしい作品をご紹介したいと思う。

まずはこちら、はい、ご存知『プレデター』(Predator)のクリーチャーと、『ヘルボーイ』(Hellboy)である。「プレデター」の方にはベリー系のジャムが入っているようなので、ナイフを入れればおそらく、映画を再現したようなブラッディーなことになるだろう。あっ・・・、このクリチャーの血液は蛍光の黄緑色だった!ということは、アレンジしてキウイフルーツ的なジャムなど入れれば、その問題は解決されるであろう、ここは重要なポイントなのでメモしていただきたい。

Pies are Awesome
https://www.instagram.com/thepieous/

そしてこのウェブサイトでは、前述のように単に完成品の写真を披露するだけではなく、そのパイのレシピと作り方のチュートリアルを豊富な写真付きで詳細に説明してくれている。これを見ればもう誰でも、魅惑の『プレデター』パイが作れちゃうわけである!

そう、これは世界にパイの復権を叫ぶための、「パイ・ルネサンス」とでも呼ぶべき文化的活動なのである。

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https://www.piesareawesome.com/

はい、そしてこちら、記憶にも新しい『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(Star Wars: The Force Awakens)から、カイロ・レンとBB-8、いやあくまで「パイ-ロ・レン」である。BB-8はぼくの好きなアップルパイ。スター・ウォーズ愛顧家にとっては、いろいろな意味でヨダレが出るはず。

Pies are Awesome
https://www.instagram.com/thepieous/

こんなものもある、『ダイ・ハード』(Die Hard)のブルース・ウィリスと『007』、こちらも、もちろん『パイ・ハード』というべきもの。『007』の方は一体どの作品かと言えば、彼女のコメントいわく、「Live and Let Pie. Pie Another Day. Tomorrow Never Pies. For Your Pies Only. Um… From Russia with Pie. . Octopiesy?」とのこと。ロジャー・ムーアびいきのぼく個人としては、その中でも『ユア・パイズ・オンリー』(For Pies Eyes Only)に一票かな。

Pies are Awesome
https://www.instagram.com/thepieous/

とまあこんな感じに、映画寄りのチョイスでいくつかご紹介してみたが、この他にも様々なものからインスピレーションを受けて、素晴らしいパイを作り続けている。特に気になったのが、例えばH・R・ギーガーとかクトゥルフ神話なんかをコンセプトにしているものもあり、彼女の内に秘めたるもの、深淵から覗くものが垣間見えた気がした。勝手ながら、彼女とは仲良くなれそうな気がする。

ジェシカさんは、メインのウェブサイト以外にも広くソーシャルメディアを活用しているので、気になる方はチェックしていただきたい。YouTubeは「Coming soon」だそうである。おそらくは例の土井家が二代に渡って繰り広げている『おかずのクッキング』的なチャンネルを展開するのであろうと、予想される。

Instagram: @thePieous www.instagram.com/thepieous

Pinterest: www.pinterest.com/piesareawesome

Facebook: www.facebook.com/ThePieous

Twitter: @thePieous https://twitter.com/ThePieous

YouTube: www.youtube.com/piesareawesome [Coming soon!]

というわけで、みなさんも彼女のレシピをもとにして、素敵なパイ作りを堪能しつつ、パイ・ルネサンスに一役買ってみてはいかがだろうか。

最後にもうひとつだけ、このストロベリー・クトゥルフパイが可愛すぎる!!!

Pies are Awesome
https://www.facebook.com/ThePieous

Writer

Mujina
MujinaMujina Tsukishiro

普段はあまり摂取しないコーヒーとドーナツを、無駄に欲してしまう今日この頃。You know, this is - excuse me - a damn fine cup of coffee.

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