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【ネタバレ】『ファースト・マン』ニール月面での行動は事実か、夢か ─ ニール・アームストロングの息子に聞いた

ファースト・マン
© 2018 Universal Studios and Storyteller Distribution Co., LLC. All Rights Reserved.

映画『ファースト・マン』は、人類で初めて月に立ったニール・アームストロングの人生を描く映画。『ラ・ラ・ランド』(2017)では夢と現実の間を見事に描き上げたデイミアン・チャゼル監督が、月に挑むニールの壮絶な物語をドラマチックに描く。

この記事には、『ファースト・マン』のネタバレが含まれています。


ファースト・マン
©Universal Pictures

数々の苦難を越えて月面に着陸したニールは、果てしない闇の中、ぼうっと浮かぶ月に立っている。ニールはひとり月面を探索し、着陸船から60m東にあるイースト・クレーターにたどり着いた。そこに、幼くして亡くした第二子カレンの形見であるブレスレットを残したのだった。

ニールは本当にカレンの形見を月面に残したのだろうか。この記事では、ニールの息子マーク・アームストロングにも話を聞きながら思いを巡らせてみよう。

ニールが月に持っていたもの

映画『ファースト・マン』の原作となったのが、J.R.ハンセン著『ファースト・マン 初めて月に降り立った男、ニール・アームストロングの人生』。ニールの人生録、および月面着陸に至るまでの道のりをつぶさに記した同書によれば、「アポロ11号の記録から抜け落ちている事柄のひとつが、アームストロングと相棒たちが月へ持っていった個人的な品物や記念品に関することである」という。ニールらは個人の品物を記念としてアポロ11号に積み込んでいたというが、その中身については「いまだにはっきりとわかっていない」。

月に持っていた私物についてニールから明かされているものは、「アポロ11号のメダルが何枚か」と「妻と母に贈るアクセサリー(オリーブの枝をあしらった金の飾りピン)が何個か」、「ほかの人たちに贈る品物がいくつか」、「ライト兄弟が1903年に作った飛行機の左プロペラの木切れと、左上翼のモスリン生地の切れ端(8✕13インチ)」、「パデュー大学から授けられた大学友愛会の飾りピン」がすべてで、2人の息子やカレンのために持っていったものについては語られていない。同書には、ニールの妹ジューンによる「ニールは何かカレンの形見を月に持っていったのでしょうか?」「そうだったと心から望んでいます」との思いも綴られている。

物静かな性格で知られるニールは、自分のことをほとんど周囲に話さなかった。ニールの同僚には、彼に子どもがいたことも、ましてや娘を亡くしていたことも何も知らない者もいたという。アポロ8号に乗っていたビル・アンダースは、「ニールとは腹を割って『子供たちはどうしてる?』というような、くだけた会話をした記憶がない。決して彼が軽く一杯やるのも嫌いというわけじゃない。ただ彼はどんなときでもつねに直球一本で。思うに、ニール・アームストロングは本質的に、同僚たちの誰よりも高潔な性格の持ち主なんだよ」と語っている。

空白の10分間

ニールは”ちょっとあっちに行ってくる”と言って、イースト・クレーターに向かった。なぜそうしたのか?何をしていたのか?」『ファースト・マン』脚本のジョシュ・シンガーは、米ScreenCrushにこう語っていた。ジョシュによれば、原作書籍の著者であり、ニールの研究に長年を費やし、ニール本人へも取材を重ねていたJ.R.ハンセンも「事実だと思う。カレンの何かを月に残してきたんだと思う」と信じているという。

デイミアン・チャゼル監督は米Varietyに対し、「でっち上げというわけではありません」と説明している。「しかし、映画で描かれた特定の出来事と違って、事実であると必ずしも証明できるものでもありません。推察に基づいたものです。ジム(.R.ハンセン)によるニールの伝記から推察されたものです。(中略)ニール本人は、肯定も否定もしていません。彼は基本的に、月での出来事を話そうとしていません。なので繰り返しになりますが、確かな確証はないんです。でも僕は、そうだったと考えたいですし、ニールと親しい人々もそうだったと考えています。

それでは実際に、ニールの家族はどう思っているのだろうか。THE RIVERでは、ニール実の息子であるマーク・アームストロングに直接話を聞いた。

「(ニールがカレンの形見を月に残したか)私には分かりません。というか、誰も知らないんです。私が知っているのは、彼がイースト・クレーターに歩いていった、ということです。(操縦士の)バズも別の場所にいた。彼はそこで10分間過ごしていますが、何をしていたのかは誰ひとり知らない。私としては、もし彼が月面に形見を残していたとしても驚きません。父の性格を考えたら、誰にも言わないでしょうね。個人的なことなので。いつか私が月に行って、探してみたいものですね。君も一緒に来ますか?」

ニールは本当に月にカレンのブレスレットを残してきたのだろうか。その真相は、いつか人類が再び月を訪れた際に明らかになるのだろう。

なお、THE RIVERによるマーク・アームストロングへのインタビュー記事は後日公開予定。映画への理解が深まるエピソードが語られているのでお楽しみに。

合わせて読みたい

『ファースト・マン』公式サイト:https://www.firstman.jp/

Source:ScreenCrush,Variety,『ファースト・マン 初めて月に降り立った男、ニール・アームストロングの人生』河出文庫、ジェイムズ・R・ハンセン著、日暮雅通・水谷淳 訳

Writer

中谷 直登
中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER編集長。ライター、メディアの運営や映画などのプロモーション企画を行っています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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