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『フォレスト・ガンプ/一期一会』続編、脚本完成していた ─ 9.11同時多発テロでお蔵入りに

トム・ハンクス
Photo by Dick Thomas Johnson https://www.flickr.com/photos/31029865@N06/29830327845/

トム・ハンクス主演、ロバート・ゼメキス監督による名作映画『フォレスト・ガンプ/一期一会』(1994)に続編の計画が浮上していたことがわかった。同作で脚本を担当したエリック・ロスによれば、実際に続編の脚本は完成していたという。米Yahoo! Entertainmentのインタビューにて語られている。

『フォレスト・ガンプ』続編、90年代を振り返る予定だった

『フォレスト・ガンプ/一期一会』は、ハンクス演じる主人公フォレスト・ガンプが、1970~80年代の歴史上の出来事に立ち会いながら、人々と関わりあい、最愛の人とのあいだに生まれた息子と出会うまでの物語だ。

続編は2000年代の初頭に企画されており、フォレストが90年代の出来事に立ち会っていくという構想だったという。「(物語は)彼の幼い息子がエイズだというところから始まっていました。フロリダにいるみんなは、彼と一緒に学校に行きたがらないんですね」。当時のフロリダでは、人種差別撤廃に向けた“強制バス通学”が制度として実施されていた。人々はバスに乗るか、それとも彼と一緒に学校へ通うかという選択を迫られるという展開だったのだという。

ほかにもロスの構想では、フォレストがO・J・シンプソンの自家用車であるブロンコの後ろを走ったり(編注:元アメフト選手のシンプソンは元妻とその友人を殺害した容疑で逮捕された際、ブロンコに乗って警官とのカーチェイスに及んでいる)、社交ダンス(ボールルームダンス)のダンサーとなったフォレストがダイアナ妃と踊ったりというアイデアが存在したとのことだ。

また続編には、フォレストが再び愛する人と出会うという展開が用意されていたという。しかし彼女をめぐる展開こそが、作品そのものをお蔵入りにするひとつの要因になったとみられる。

「彼(フォレスト)がネイティブ・アメリカンの女性とバスで出会うんです。[中略]大きな出来事が起こるんですが、それが現実の悲劇によってうまくいかなくなってしまった。同じ悲劇だったからです。彼はネイティブ・アメリカンのパートナーを待っていて――彼女はオクラホマシティの政府ビルにある保育園で教師をしているんです――一緒にランチへ行こうとベンチに座っている。すると突然、建物が爆発するんです。」

つまりロスは、1995年4月19日に発生した「オクラホマシティ連邦政府ビル爆破事件」を劇中で描こうとしていたのだ。その脚本が完成したのは、奇しくも2001年9月10日のことだったという。

「トム(・ハンクス)と私、ボブ(ロバート・ゼメキス)で9月11日に集まりました。アメリカで生きるとはどういうことだったか、(テロ事件が)いかに悲しいかと慰め合ったんです。お互いに、“この映画はもはや無意味だ、ナンセンスだ”と言いました。」

もちろんそれは、先述の通り、続編で実際のテロ事件を扱おうとしていたからだということもあるだろう。しかしロスは、「9月11日の出来事があって、すべてが無意味になったように思いました」と述べている。つまり同時多発テロ事件によって、“1990年代の事件に主人公が立ち会っていく”というストーリー自体が効力をもたなくなったという判断があったのだ。

その後、『フォレスト・ガンプ/一期一会』の続編はついに製作されていない。昨今、ハリウッドでは数十年越しの続編映画がしばしば作られる傾向にあるが、もしもフォレストが2000年代以降の出来事に立ち会っていく続編が作られるのを想像してみるとして……それは現在ならば特別な意義が生まれる部分もあるだろう。あくまで、それを実際に観てみたいかどうかは別として。

Source: Yahoo!

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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