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女優ジョディ・フォスター、ヒーロー映画を厳しく批判 ― 『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』監督が真っ向から反論

ジェームズ・ガン
Photo by Gage Skidmore https://www.flickr.com/photos/gageskidmore/28557194032/

2017年の終わりから2018年の始まりにかけて、海外の映画業界ではちょっとした論争が起こっている。

映画『タクシードライバー』(1976)や『羊たちの沈黙』(1991)、『コンタクト』(1997)など数々の名作に出演し、監督・プロデューサーとしても活躍する女優ジョディ・フォスターが、ハリウッドに広がる現在の傾向に苦言を呈したのだ。なかでもヒーロー映画を直接的に批判したことに対して、観客たちはネガティブな反応を示していた。
しかしそんな中、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズ(2014, 2017)のジェームズ・ガン監督が、フォスターの発言に真っ向から反論している

ジョディ・フォスターの批判

近年、フォスターは女優業よりもドラマ『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』(2013-2014)や『ハウス・オブ・カード 野望の階段』(2014)など監督としての活躍がめざましい。最新作であるNetflixドラマ『ブラック・ミラー』シーズン2(2017)の配信に伴い、英Radio Times誌に登場した彼女は、英国製作の同シリーズと比較して、現在のハリウッドの状況にこうコメントしたのだった。

「映画館に行くことが、まるでテーマパークに行くことのようになっていますよね。映画スタジオは、大衆や(自社の)株主にアピールするためにひどいコンテンツを作っています。なんだかフラッキング(編注:地中深くまで穴を掘り、石油やガスを採掘する方法)みたい――すぐに利益は得られるけど、地球を壊しているわけです。アメリカ人の、そして全世界の人々の、映画を鑑賞する習慣がダメになってしまいますよ。私は2億ドルのスーパーヒーロー映画なんて作りたくない。」

ただしフォスターは、このインタビューの最後に「もしも非常に複雑な心理が描かれたものがあるのなら」ヒーロー映画を撮ることもやぶさかではない……という反応を示してもいる。

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』監督の反論

フォスターによる発言は、ヒーロー映画ファンやその関係者の怒りを買うには十分だっただろう。ハリウッドのスタジオはダメなコンテンツを作っている、その代表がヒーロー映画であり、そこに自分の求める複雑な心理や深みはない……とでも簡単に要約されかねない(言葉足らずな)発言は、案の定、映画ファンによる激しい反応を生んでいる。

そんな中、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズのジェームズ・ガン監督のもとには、とあるファンからの「この発言、どう思いますか?」という質問が届いていた。ガン監督による反論は、その回答として行われたものである。

フォスターは、スペクタクル映画は(観客の)思考を促すようなものではありえない、という昔ながらの考え方で映画を捉えていると思います。それは時に真実ですが、常にそうではありません。彼女の考え方は非常に一般的で、まったく根拠のないものではないんです。スタジオ製作による映画シリーズの多くには、まさに魂がこもっていません。それこそが映画の未来にとって本物の危機なのです。ただし、そこにはいくつかの例外も存在します。

映画が生き残っていくために、スペクタクル映画にはこれまでになかったビジョンとハートが求められると私は信じています。私たちの中には、その方向に進むべく全力を尽くしている人もいるんです。革新的で、人間らしく、そして示唆に富んだスペクタクル映画を作る。それこそがこの仕事の面白いところです

フォスターの言葉から考えるに、彼女は映画製作を、主に自分自身が成長するものとして捉えているんだと思います。それは私にとっても映画を作る理由のひとつですが、映画のために数百万ドル以上の金額を費やすことは、それ以上のもの――つまりコミュニケーションでなければなりません。そこで、自分の経験は邪魔でしかないわけです。けれども私は、フォスターと彼女の映画における仕事に敬意を払いつつ、ハリウッドの状況に対する彼女の異なった見方に理解を示したいと思います。」

ここでガン監督が示したのは、「ヒーロー映画はダメだから作りたくない」という考え方に対して、「ダメなヒーロー映画もあるけど内部から変えていきたい」という発想だ。巨額の予算を投じての大作映画を撮る側ゆえの責任感と実感も、その言葉の端々からはうかがえる。

ハリウッドにおけるヒーロー映画の隆盛を、ベテランの俳優や監督たちが批判することは近年さほど珍しくない。しかしながら、ヒーロー映画を撮る第一人者がそういった声に正面から反応するケースは極めて稀ではないだろうか。ちなみにガン監督のコメントを、『LOGAN/ローガン』(2017)を手がけたジェームズ・マンゴールド監督も「よく言った」と称賛した。もっとも、こうなるとフォスターによる次の反応を知りたい気もするのだが……。

Sources: http://www.telegraph.co.uk/news/2017/12/29/big-budget-films-ruining-future-hollywood-jodie-foster-warns/
https://screenrant.com/james-gunn-response-jodie-foster-superhero-movies/
Eyecatch Image: Photo by Gage Skidmore ( https://www.flickr.com/photos/gageskidmore/28557194032/ )

Writer

稲垣 貴俊
稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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