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『フリー・ガイ』海外でも絶賛レビュー「信じられないほどの高揚感」「今年の映画でこんなに笑ったのは初めて」

フリー・ガイ
(C) 2021 20th Century Studios. All Rights Reserved.

 『デッドプール』のライアン・レイノルズ主演、「ストレンジャー・シングス」や『ナイト ミュージアム』シリーズのショーン・レヴィ監督によるアクション・コメディ映画『フリー・ガイ』が待望の日本公開を迎えた。

この映画のあらすじや予告編を見て、「ビデオゲーム映画」との印象を抱いた方も多いだろう。映画の概要は、ルール無用のゲーム世界で、自分がモブキャラ(ゲームの背景キャラ)であると知ってしまった主人公ガイ(ライアン・レイノルズ)が、迫りくる危機からゲームの世界を救うために、プログラムや設定を無視して独自に動き出す、というものだ。そこにはゲーム世界ならではの仕掛けが多数あって、細かな小ネタやサプライズもいくつか用意されている。

しかし、本作には単なる「ビデオゲーム映画」に留まらない、優れたストーリーテリングがある。これには海外メディアも驚いているところで、米Deadline「最初はこの映画のプロットを知らなかったので、ちょっとわかりにくいな、ゲーマー向けの作品なのかな、と思っていた。しかし、いったん入り込んでくると、もうべた惚れだ」とレビュー。同じように米Colliderも、「最初に予告編を観た時は少し心配だった」と書いている。「サングラスをかけて世界の真実を見る主人公というと、ジョン・カーペンターによる1988年のカルト・クラシック『ゼイリブ』がある。そこでカーペンターは消費社会と服従を批判していたが、『フリー・ガイ』はどうもそれらを受け入れているように見えた。幸いなことにショーン・レヴィ監督の本作はそういうものではなく、どちらかというと『LEGO ムービー』と『マトリックス』を組み合わせたようなものだった。人生に受動的な普通の男が、クールな女性に恋をして、自分の世界は思っていたものと違うということを教えてくれる作品だ」。

フリー・ガイ
© 2021 20th Century Studios. All Rights Reserved.

Colliderは、この映画はビデオゲームに詳しくなくとも楽しめるものだと筆を進めており、「これは受動的な人生をやめた男の物語で、信じられないほどの高揚感がある」と勧めている。「『フリー・ガイ』は、HBOのドラマ『ウエストワールド』と強く共鳴することもあるが、『ウエストワールド』は人間の暴力的衝動によってホストが搾取され、暗い方向に進んでいくのに対し、『フリー・ガイ』はコミカルなものを目指している。ゲームの世界で人々は恐ろしい行動を取るが、その人々は大人のフリをしたティーンエイジャーであることが多く、ネット世界と現実のギャップを見るのが面白い」。

主人公を演じるライアン・レイノルズは、毎日同じルーティンで動く、薄青色のシャツと黄土色のチノパンを履いた、いかにも型にはまった銀行員。『LEGO ムービー』(2014)の主人公エメットのように、マニュアル通りの生活に何の疑問も抱かず幸せに暮らしていたが、モロトフ・ガール(ジョディ・カマー)に一目惚れすると一変。彼女に認められるために、モブキャラではありえないはずの“レベルアップ”に励むようになる。レイノルズは、この純粋無垢ながら、思わぬパワーと魅力をまとうようになる、愛すべき主人公を好演。持ち前のコメディセンスを発揮した演技にも高評価だ。

Deadlineは、「レイノルズは、今作のようなハマリ役であれば、その役を演じるために生まれてきたかのような完全な魅力を持っている」と紹介。米Varietyは「レイノルズはカリスマ性がありすぎるので、没個性のNPCキャラとしては信じられないかもしれないが、[中略] この“青シャツ男”がどんどんレベルアップしていって、キャラクターが彼自身のものになっていくのを見るのはスリル満点だ」と評している。

また、「ショーン・レヴィ最高傑作と言っても過言ではない」「全体がまとまっているからこそ、喜びに満ちた、高揚感ある大作になっている。今の時代に合った作品でありながら、大きなテーマ性のおかげで驚くほどの耐久性も兼ねている。『フリー・ガイ』を観終えたら、またすぐにプレイしたくなるだろう」(Collider)といった評価も。海外メディアにも絶賛で迎え入れらた本作の米Rotten Tomatoesスコアは、現時点では封切り直後とあってまだ充分多量のレビューが集まりきっていないところではあるが、批評家スコア84%、観客スコア100%(本記事時点)の好発進を切っている。

今年の映画でこんなに笑ったのは初めてだ」(Deadline)と、明るい気持ちになれることは間違いない『フリー・ガイ』。この夏注目の作品だ。

映画『フリー・ガイ』は全国公開中。

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Source:Deadline,Collider,Variety,Rotten Tomatoes

Writer

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中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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