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ウェス・アンダーソン監督、新作の撮影で工場を映画スタジオに作り変える ─ 撮影セットから小道具置き場まで

ウェス・アンダーソン
Photo : Ernesto Ruscio | Festival Annecy https://www.flickr.com/photos/94915094@N06/49560810968/

『犬ヶ島』(2018)などのウェス・アンダーソン監督による最新作『The French Dispatch(原題)』では、撮影のため、遺棄されたフェルト工場が映画スタジオに作り変えられたという。『グランド・ブダペスト・ホテル』(2014)でもタッグを組んだ、プロダクション・デザイナーのアダム・ストックハウゼンが米IndieWireのインタビューにて明かしている。

本作は20世紀フランスの架空の街を舞台に、アメリカ発の新聞社「The French Dispatch」の記者たちを描く“ジャーナリストたちへのラブレター”。新聞記事を模した3つの物語、投獄された画家をめぐる「The Concrete Masterpiece」、不当な政治に対する学生運動を描く「Revisions to a Manifesto」、そして警察にて働くシェフを主人公とする「The Private Dining Room of the Police Commissioner」から構成されている。

125以上にも及ぶ膨大な数のセットを本作のために作り上げたと語るストックハウゼンは、その正確な数までは把握し切れていないとのこと。製作に必要なインフラが整ったフランスの自治体アングレームで撮影は行われ、町の外れにあった、遺棄されたフェルト工場が活用されたという。

「振り返ると、実にバカげたことのように聞こえるんですが、当時は“そうだ、フェルト工場を使いましょう!”と自然に思いついたんですよ。そこで、工場を私たちの力で映画スタジオへと作り変えました。小道具置き場、木工作業場、彫刻室、セット用の準備室などを作り、一番大きい3つの部屋を撮影セットにしたんです。」

予告編にも登場する刑務所のセットについて、ストックハウゼンは「この場所(元工場)には、刑務所を建てるのに最適な構造があると気づいたんです」と語った。「すでに刑務所の構造についてのアイデアはあったのですが、この場所を見つけた途端、考えが一瞬にして変わりました。そこから刑務所の独房棟、囚人の作業場、処刑場など様々な部屋を設計することにしたんです」と話している。

また、ストックハウゼンは刑務所のセットを作るにあたってウェス・アンダーソン監督らと、オーソン・ウェルズ監督『審判』(1962)について話し合ったのだという。

『審判』ではすべてのセットが駅構内に建てられているのですが、セットの端々を見ると、そこには駅の構造を垣間見ることができるんですよそういったところから刑務所の着想を得まして、常にその場所を感じ取ることが出来るようにしています。たとえその部屋がきちんと作られたものであっても。天井には手を加えなかったり、壁はメッシュ素材で構築したりと、元の場所の構造が生きるように工夫したのです。」

ちなみにウェス・アンダーソン監督は、アルベール・ラモリス監督『赤い風船』(1956)のビジュアルから影響を受けているのだという。「美しく汚れた都市、華やかだが、暗さのある建築物、そしてそこから放たれる輝かしい色」を本作でも見せたかったのだと話している。

映画『The French Dispatch(原題)』は2020年7月24日に米国公開予定。

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Source: IndieWire

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Minami

THE RIVER編集部。「思わず誰かに話して足を運びたくなるような」「映像を見ているかのように読者が想像できるような」を基準に記事を執筆しています。映画のことばかり考えている“映画人間”です。どうぞ、宜しくお願い致します。

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