『マッドマックス』は「望んでいた通りにはいかず」、ジョージ・ミラーが映画史に残る1作目を振り返る

全世界が熱狂したアクションシリーズ『マッドマックス』。1979年に公開された1作目は、のちのシリーズ化にも繋がった言わずと知れた不朽の名作だ。ところが、メガホンをとったジョージ・ミラー監督いわく、この記念すべき作品は監督が思い描いていた通りにはならなかったという。
『マッドマックス』シリーズ第1作目は、メル・ギブソンを主演に迎えた作品。舞台は荒廃した近未来のオーストラリアで、そこでは暴走族による犯罪が横行していた。その凶悪な暴走族の一味に愛する妻子を奪われた敏腕警官、マックス・ロカタンスキーがたったひとりで容赦ない復讐の戦いに挑む物語だ。低予算ながら、暴力と狂気に満ちた黙示録的な世界観をはじめ、手に汗握る規格外のカーチェイスなど、その魅力に取りつかれた者は数知れないほどいるだろう。
そんなアクション映画史に刻まれる本作は、ジョージ・ミラー監督にとって初の長編映画。米Deadlineのインタビューにてミラーは、「私が最初に手がけた『マッドマックス』では、自分には映画監督としての資質がないと思ってしまいました」と告白している。当時、医師として働いていたミラーにとって、初の長編映画の製作は慣れないことばかりだったそうだ。「そのプロセスがあまりにも大変で、自分が望んでいたような映画にはなりませんでした」と説明している。
「頭の中には映画の構想がしっかりとあり、その準備も万端で、すべてを把握していたつもりでしたけど、それらは思わぬ方向に進んでしまったんです」と、なかなか思い描いていた通りにはいかなかったとミラー。もっとも、映画製作とは全てが計画通りに進むものではないと、巨匠は持論を展開している。
「もっとリソースがある映画では、そういうものであるとも気付いたんです。私自身は、物事が穏やかに、そしてスムーズに進むことを望む人間ですが、一方で、そんなことはありえないとも思っているんですけどね。」
ミラー監督にとって本作は、完全に納得のいく作品とはならなかったのかもしれないが、上述の通り、『マッドマックス』1作目は世界中の観客を魅了。あらゆるエンターテイメントやクリエイターに影響を与え、今なお語り継がれている。
ちなみに現在は、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(2015)につづくシリーズ最新作、『フュリオサ(原題)』が進行中。第4作目に登場した最強の戦士、フュリオサを主人公とした作品で、その知られざる過去に迫る。その監督を務めるのはもちろん、ジョージ・ミラーである。
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Source: Deadline