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【インタビュー】『Ghost of Tsushima』黒澤明から受けた影響を開発者が徹底解説「『七人の侍』を観ておいて」

Ghost of Tsushima
©Sony Interactive Entertainment LLC.

黒澤明映画や時代劇以外からの影響

Ghost of Tsushima
©Sony Interactive Entertainment LLC.

──映画ファンが『Ghost of Tsushima』をプレイするべき理由を教えてください。

ジェイソン:子供の頃、『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』(1977)『スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』(1980)を何度も観て、少し歳を重ねてから西部劇も観るようになりました。そして大学に入り、「あれもこれも侍映画から着想を得ているのか」と知ったんです。なので、もしも皆さんが『スター・ウォーズ』や西部劇、そして侍映画で描かれる戦いの持つ緊張感や、それに付随する物語が好きであれば、間違いなく楽しめると思います。中世日本に興味がある人は、美しい日本に触発された自然の中を歩き回ることがどんな感じなのかを自分自身で体験することが出来るでしょう。

──『スター・ウォーズ』といえば、本作の物語からも少し垣間見れましたが、他にも時代劇以外で影響を受けた作品はありましたか?

ネイト:映画ではありませんが、この作品の開発を始めた時に、私たちが目指しているものを表現する上で多大な影響を受けたゲーム作品は、『レッド・デッド・リデンプション』でした。この作品は無法者のカウボーイを疑似体験させるために、制作陣が見事な仕事ぶりを発揮していました。音楽、脚本、登場人物、衣装、照明など全てが、自分自身がその場所にいるかのような感覚に寄与しているんです。なので、この作品を作ろうと思った時、「よし、レッド・デッド・サムライを作るぞ」と言ったりもしましたね。そうすると、全員がすぐに目標を理解してくれたんですよ。

──ゲームと映画の決定的な違いは何だと考えられてますか?

ネイト:ゲームの核となるのは、操作している主人公が自分自身であると常に感じられることだと思います。馬に乗って対馬の森を駆け抜ける瞬間を自分が体験しているみたいな。そして、その瞬間を境井 仁としてのものではなく、自分自身のものにすることが出来ます。それが何よりも映画と異なる要素でしょう。自分自身の視点や感覚を通して体験することが出来るのがゲームですが、映画の方は様々な視点が入っているとでも言うべきでしょうか。ゲームでは、自分の感情や、如何にそのキャラクターに入り込めるのかが重要なんですよ。

圧倒的な没入感を高める為の演出と難易度

Ghost of Tsushima
©Sony Interactive Entertainment LLC.

──先程、『七人の侍』を観ている時、時間が一瞬にして過ぎ去ったと話されていましたが、私も本作をプレイして同じ気持ちになりました。本作では風や動物が主人公を目的地まで導いてくれますが、その他に没入感を高める為に工夫された要素はありますか?

ジェイソン:風や動物は間違いなく大事な要素でしたね。また、様々な環境を作る必要もありました。ただ、当時の対馬について調べていたら、80%以上が森林で覆われていて、しかも丘だらけだったんですよ。馬に乗って旅するゲームとしては完全に不向きな環境ですよね。そのため、実際の作品では幾つかの場所を平らな土地にしたり、あらゆる場所に谷を設置したりしました。その谷に辿り着いた時、次の目的地が目で分かるようにしているんですよ。その結果、途切れなく作品の世界に没入し続けられるんです。

そして、画面上から不必要な要素を極力排除するようにもしました。例えば、刀を出した時にHPゲージが出現するようにしています。逆に刀を仕舞えばHPゲージも消えます。必要がなくなるので。私たちは常に、如何にしてプレイヤーを中世日本の世界の中に入り込ませて、最大限に世界観を楽しませられるのかを出来る限り模索しました。

──個人の裁量で戦い方を工夫できるのも本作の醍醐味の一つですよね。

ジェイソン:中世日本を舞台にしたオープンワールドで、実際に侍を体験しているかのような気分になれるゲームを作りたいというのが、当初からの目標でした。更に、どうすれば各々が思い浮かべる「侍」を作り上げられるかを常に考えていました。忍者のような格好をしてみたいとか、『用心棒』みたいな格好をしてみたいとか、鎌倉時代を彷彿とさせられる格好良い鎧を着てみたいとか、そういうのもありますよね。なので、各自の好みに合わせてカスタマイズを施せるようにしました。色を変えてみたりして、自分だけの侍に仕上げるのも楽しいですよね。自分の戦い方を極めて、自分のなりたい侍を目指してみるのも良いかもしれません。

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──私自身も実際に衣装・鎧を選ぶのは非常に大変でした。性能で選ぶべきか、物語に合わせて選ぶべきか。

ネイト&ジェイソン:ハハハ!

──私は難易度の高い作品は苦手なので、最も簡単な設定でプレイしました。実際のところ、本作の難易度についてはどのように考えていますか?

ネイト:侍になりきるための要素の一つは、剣術を極めることでしょう。自分自身が主人公になったかのような気分になるために重要なのは、難易度の高い世界で常に周囲に注意を払うことです。刀の扱いにも慣れなければいけませんし、その刀で飛んできた矢を弾かなければならないですよね。そうすることで、実際に何がその場で起こっているのかを肌で感じることが出来るでしょう。

しかし、毎回敵に殺されると流石に不快な気持ちにさせられると思うので、本作では三つの難易度を用意しました。私はあなたが自分自身に合った難易度を見つけて、侍の世界に入り込めたことを心から嬉しく思います。侍らしさを味わう為に、一部の人向けには任務失敗の代償を更に大きくした難易度も用意しています。いずれにせよ、私たちは誰もが侍になれるように仕上げたかったんです。

日本刀と西洋の剣は何が異なるのか

Ghost of Tsushima
©Sony Interactive Entertainment LLC.

──日本刀と西洋の剣の違いや、作品を作る上で難しかったことについて教えてください。

ネイト:戦闘要素を作り始めた時、改めて往年の侍映画を観てみたのですが、ファンタジー映画で見られるような、”キンキン、カンカン”と単調な音の出る斬り合いではないことに気付きました。緊張感があって、静寂に包まれていて、それから稲妻のように刀を出して、相手を一瞬にして葬り去るんですよ。私たちが普段見慣れている西洋の剣が登場する映画の戦闘方法とは全くもって異なりますよね。なので、少々難しかったですが、“刀”が如何に相手に致命傷を与えるものなのかを尊重して、作品を作り上げる必要があると確信していました。

──斬撃音や血飛沫が非常に真に迫っていましたが、どのようにして実現させたのでしょうか?

ジェイソン:私自身は音についてはあまり詳しくありません。ただ、私たちの音響監督が一生懸命に取り組んでいました。彼はこの為に大量の映画を鑑賞したり、社内で専用ツールまで開発したりして、少しやり過ぎていたかもしれませんね(笑)。確かソニー側からの提案だったと思うのですが、1950年代や1960年代、あるいはそれ以上前に作られたような音に仕上げるようにしました。ただ、20時間、30時間、50時間、60時間も聴くのは流石に大変だと思うので、往年の映画に捧げるような音と、長時間聴いていられるような耳馴染みの良い音との中間を探る必要がありましたね。

残酷な表現は実に興味深いものがありました。侍映画の中にも大袈裟でやり過ぎな作品があるので、私たちは純粋なリアルさ以上のものを目指すことにしましたよ。そこで、特殊効果担当者に色々と調べてもらい、結果的に物凄く格好良い血飛沫の演出が完成しました。壁に飛び散ったり、地面に当たったりして、実に印象的な血痕が付きます。技術的な説明としては、血飛沫の飛び方はプログラミングに基づいて、事前に用意された数パターンの中のどれかが表示させるのではなく、血をパーティクル(粒子)として表現して、その状況や場所に応じて都度、飛び散り方を計算するようにしているので、最高の技術で出来ていると言えるでしょう。それから、何度か斬られたり、誰かを斬ったりすると、互いの血が互いに飛び散るようになっているんです。真白な服を着て激しい戦闘を繰り出すと、返り血を存分に浴びた姿が見られるでしょう。

日本へのメッセージ

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──最後に日本のプレイヤーに向けて、メッセージをお願いします。

ジェイソン:皆さんには作品を通して、私たちの努力の結晶をご覧頂きたいです。全力を注いで作り上げた、自然に満ち溢れた美しい風景を心から堪能してください。そして、時代を越えて世界中に影響を与えた素晴らしい日本映画に捧げた想いにも注目してもらいたいですね。敬意を持って作品に取り組めたことを願っています。

ネイト:作品を自分で体験している間、目の前にある任務をただ単にこなすことはお勧めしません。自分で道を切り開き、新たな発見を求めて自由に旅してください。それがこの作品の醍醐味の一つです。もしも、私が皆さんを少しだけ後押しする言葉があるとしたら、それは、「好奇心に身を委ね、旅してみてはいかがしょうか」ですね。

PlayStation®4用ソフトウェア『Ghost of Tsushima』

時は文永(十三世紀後半)。モンゴル帝国(大元)は東方世界の征服を目論み、立ち塞がる全ての国々を蹂躙していた。東の果て、日本に侵攻すべく編成された元軍の大船団を率いる、冷酷にして狡猾な智将コトゥン・ハーン。対馬に上陸する元軍を迎え撃つ対馬の武士団だったが、敵の兵略により初戦で壊滅。島は侵略の炎に包まれてしまう。

命からがら生還した武士、境井 仁は、境井家の最後の生き残りとして、武士の道に反しても対馬の民を守ろうと決意。冥府から蘇った“冥人”として、どんな手段を使っても故郷を敵の手から取り戻そうとするのだ。

タイトル Ghost of Tsushima
ジャンル オープンワールド時代劇アクションアドベンチャー
対応機種 PlayStation®4、PlayStation®4 Pro
発売予定日 2020年7月17日(金)
価格 ■通常版
パッケージ希望小売価格: 6,900 円+税
ダウンロード販売価格: 7,590 円(税込)
■デジタルデラックスエディション
販売価格: 8,690 円(税込)
CERO Z (18才以上のみ対象)
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Writer

南 侑李
Minami南 侑李

THE RIVER編集部。「思わず誰かに話して足を運びたくなるような」「映像を見ているかのように読者が想像できるような」を基準に記事を執筆しています。映画のことばかり考えている“映画人間”です。どうぞ、宜しくお願い致します。

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