『ナイブズ・アウト:グラス・オニオン』破壊者のセリフは『スター・ウォーズ』ファンへのライアン・ジョンソン監督からのメッセージなのか?

ライアン・ジョンソン監督による『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』(2017)について、ファンの議論は長く絶えない。大胆な手法でサーガの掟を破った同作は、ある視点で見れば「再創造」であり、またある視点で見れば「破壊」でもある。
ジョンソン監督は『スター・ウォーズ』のファンから警戒されている部分もあるが、自身のオリジナルであるミステリー映画シリーズ『ナイブズ・アウト』では伸び伸びとした創作で大きな評判を集めている。1作目『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』(2019)では、ちょうどジェームズ・ボンド役卒業を控えていたダニエル・クレイグを主人公の名探偵役に据えると、これがハマリ役として高評価。Netflixはその2作目と3作目の独占配信権を欲しがり、異例の高額で買い上げた。報道によると、その額なんと4億6,900万ドルという。
その注目の2作目『ナイブズ・アウト:グラス・オニオン』では、前作で取り扱った「フーダニット(“誰がやったのか?”を推理していくミステリーの王道形式)」のスリルをさらに高め、離島の隔離空間で発生する殺人事件の謎を巧みに演出した。所々に大小様々なサプライズを散りばめ、観客の予想の裏をかくような手法はジョンソン監督の得意技で、『グラス・オニオン』は監督の本領が遺憾なく発揮されている痛快推理エンタメだ。
その劇中に、どうも「『スター・ウォーズ』ファンへのメッセージなのではないか?」とつい勘ぐってしまうような箇所がある。殺人ゲームが行われる離島に集まった有力者たちの中で、ゲームの仕掛け人である億万長者マイルズ・ブロン(エドワード・ノートン)の趣向や、彼がなぜ参加者らを「破壊者」と呼ぶのかもわかりかねた様子の主人公ブノワ・ブラン(ダニエル・クレイグ)に、マイルズがその意図を説くシーンだ。
『ナイブズ・アウト/グラス・オニオン』の内容が含まれます。
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