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【解説レビュー】サスペンス、それともスリラー?史上最恐にスリリングな恋愛映画『ゴーン・ガール』

夫婦とは一体なんなのだろうか。『ゴーン・ガール』を見れば、そんな疑問の答えも見つかるかもしれない。

本作を手掛けたデヴィッド・フィンチャーの代表作といえば『セブン』や『ファイトクラブ』が真っ先に挙げられるだろう。一つのカットを何十回も撮り直したり、日常のワンショットをCGで表現する等、一種のパラノイアかと感じるほど映像に拘る監督で有名だが、本作もその美術が比類無きものに仕上がっている。だが、映像表現については一旦置いておこう。このレビューで何よりも伝えたいのは、今作のストーリーであるからだ。

『ゴーン・ガール』は同名の原作小説をもとに作られている。ミステリ要素が強いため、ネタバレや事前情報を出来るかぎり避けて視聴して欲しい作品だ。といっても、解説レビューを書くためにはネタバレは避けられない。なので今回は、段階的にネタバレをしながら作品を解説していく。個人的には、興味を惹かれた時点で、直ぐに映画を視聴してほしいぐらいだ。

【注意】

本記事には、映画『ゴーン・ガール』のネタバレがが含まれています。

http://ciatr.jp/topics/13011
http://ciatr.jp/topics/13011

緻密に計算された脚本、散りばめられた伏線

結婚五周年のその日、ニックが帰宅するとそこに妻であるエイミーの姿は無く、自宅には争った形跡だけが残っていた。ニックは直ぐに警察へ通報し、妹のマーゴやエイミーの両親たちと共に、テレビなどのメディアを利用して彼女の行方を捜すことになる。劇中では、ニックの妻捜しと平行して、7年前のニックとの出会いから始まるエイミー回想が繰り広げられる。

両親が自分をモデルに出版した「完璧なエイミー」。小説に描かれた完璧な自分と、エイミーはいつも比較され続けていた。そんな折、彼女はニックと出会い、パーティから抜け出して、粉雪が舞う街中でキスをする。理想のエイミーではなく、ニックは自分自身を選んでプロポーズをしてくれた。その結婚は、小説の自分に劣らないほどロマンチックなものだった。

しかし、そんな結婚生活も徐々に軋み始めていく。不況からの失業、両親の借金。経済的な問題からニックの故郷ミズーリへ引っ越したことで、彼女は自分の居場所の無さを痛感する。ついには、子どもを作ることを拒んだ夫から暴力が振るわれる。

一方、メアリー失踪の捜査を進める警察は、やがてニックへと疑いの眼を向け始める。妻への感心の薄さ、失踪現場から検出されるルミノール反応、妻への多額の生命保険……。不審な点が次々と沸き上がっていく。果たして真相はどこにあるのだろうか?

ここまでが大雑把なストーリーのあらすじだ。予告編を見て頂ければ、雰囲気も掴めることと思う。「なんだ、よくあるミステリーでしょ? オチも予想がつくじゃないか」とか思っている方、安心してください。その予想は完全に裏切られます。いや、ほんとに。

明かされる衝撃の展開

エイミー捜索の間、ニックはしきりに携帯を気にしていた。それもその筈、彼は年下のアンディという少女と浮気をしていたのだ。その事実は妹であるマーゴすら驚愕させ、ニックはただひたすら弁明を続ける。なんとか妹と和解するニックだったが、更に新たな事実が明かされる。妻の友人から、エイミーが失踪以前に妊娠していたことを暴露されてしまったのだ。以前からニックを軽薄だと論じていたメディアにとって、その事実は彼への攻撃を強めるには十分な理由だった。

一方、捜査を続けていた警察は、新たな証拠を次々と見つけていく。焼却炉から発見されたエイミーの日記には、夫からの暴力に怯える妻の姿が生々しく記されていた。「いずれ殺されるかもしれない」、その言葉を裏付けるかのように、暖炉からは暴行に使われたらしい鈍器が発見される。

エイミーの資産を利用して購入された大量の品を前に、ニックはついに逮捕されてしまう。ミズーリには死刑制度が存在するため、有罪になれば命はない。待っているのは文字通りの死だ。

しかし、その様子をほくそ笑みながら見ている一人の女性がいた。

http://d.hatena.ne.jp/type-r/20150912
http://d.hatena.ne.jp/type-r/20150912
エイミーだ。

彼女は生きていた。自分より年下の女と浮気した夫に絶望したエイミーは、彼を陥れる計画を企てたのだ。ミズーリの妊婦と友達になり、彼女の尿を入手して妊娠検査を偽装する。高額な生命保険を自分に掛ける。出会いから結婚五周年までの日記を偽造して適度に燃やす。自分の血を抜き、室内にぶちまけて拭きとる。

Writer

中谷 直登
中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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