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『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』劇中曲、権利交渉が最も難航した一曲とは ─ 「危うく使えないところだった」

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズや『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』(2021)のジェームズ・ガン監督にとって、物語を彩る名曲のサウンドトラックは絶対に欠かせないものだ。脚本を執筆する際、ガンはそれぞれのシーンに使う曲を書き込み、撮影現場で実際に流すこともある。もしも楽曲が使えなければ、ガンはシーンの構想を見直すことになるのだ。

The Hollywood Reporterにて、ガンはこれまでに最も権利交渉が難航した曲を明かしている。それは『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』(2017)の冒頭を飾る、エレクトリック・ライト・オーケストラ(ELO)「Mr. Blue Sky」。スター・ロードとガモーラ、ドラックス、ロケットが巨大モンスターのアビリスクと戦う中、ベビー・グルートが踊るオープニングは作品を代表する名シーンのひとつだ。この場面は、ディズニーの公式YouTubeチャンネルにて見ることができる。

「Mr. Blue Sky」について、ガンは「今までで一番難しかった。『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』でも最も大変で、危うく使えないところだった」と話している。その背景には、前作『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(2014)での“とある判断”があった。もともとガンは、同じくエレクトリック・ライト・オーケストラの「Livin’ Thing」を前作に使用するつもりで権利を獲得したが、このシーンは編集段階で丸ごとカットされたのだ。米The Washington Postでは、当時のエピソードがこう語られている。

「「Livin’ Thing」まわりの映像はできていて、素晴らしかったんです。正直に言うと、カットしたことを後悔していますよ。みなさん気に入ったと思うし、ブルーレイにでも入れたかった。だけど何十万ドルも払わないといけないので、ブルーレイに入れることもできなかったんです。そのせいで(「Mr. Blue Sky」は)許可を出すことに躊躇されましたね。」

The Hollywood Reporterにて、ガンは「曲の許可が下りないと分かった時には、もう一度お願いしなければいけません。そうすると、最終的には許可をもらえることもある」とも語る。なかには許可を得るため、ガンがいつも個人的に手紙を送っているアーティストもいるそう。「彼らの曲をどのように考えているのかを伝えるためです。映画にとって本当に重要だから選んでいるわけですしね」

ちなみに、ガンによれば『ザ・スーサイド・スクワッド』では権利交渉が難航した曲は特になかったそう。もっとも、本人は「もしあったとしても、僕には隠していると思いますよ。最初のうちに、“権利が難しい曲は入れていないから、難しいなんて言わないで”と言っておいたんです」と笑っている。水面下では、スタッフたちの目に見えない苦労があったのかも……。

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Source: The Hollywood Reporter, The Washington Post

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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