『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』ラストの描写は「起こり得ない」と元NASA宇宙飛行士が指摘 ─ もっとリアルな別案を提示

「もしこれがグルートに起こっていたら、もっと良かったかもしれないです」。
マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』(2023)のクライマックスシーンで登場したある描写を、NASAの元宇宙飛行士クリス・ハドフィールドがプロの視点でレビューした。
この記事には、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』のネタバレが含まれています。
ピーター・クイル/スター・ロード率いるガーディアンズの物語の完結編となった『VOLUME 3』では、動物実験により特別な種族を生み出そうとするマッドサイエンティストのハイレボリューショナリーとの対決が描かれた。最終決戦では、崩壊する宇宙船から逃げ遅れたクイルが、生身のまま宇宙空間に放り出されてしまう。全身が凍結し意識を失ったクイルだったが、アダム・ウォーロックに救助され、息を吹き返す。
絶体絶命のこのシーンを米Vanity Fairの動画企画で鑑賞したハドフィールドは、3度の宇宙飛行を成功させた自身の経験から感想を述べている。「おそらく、宇宙服を着ないで宇宙船の外で生きられるのは30秒くらいです」と語るハドフィールド。フィクションではなく、現実ではどうなってしまっていたのか。
「1分半を超えてしまうと、取り返しのつかないような致命的なダメージを負ってしまう。90秒後には人工衛星になってしまいますよ。15秒で血液中の全酸素が肺を逆流して、呼吸で吐き出してしまうでしょう。血液中の酸素が足りなくなり、脳までいくと意識を失ってしまいます。」
一方で、「彼の顔が腫れあがっているのはリアルです」と肯定的な意見も。「もし宇宙空間でヘルメットを脱いでしまうと、肺がつぶれてしまう。それと血もコーラの缶を開けた時みたいに、プシューってなってしまうと思います」と例えながら分かりやすく説明する。「圧力を解放すると、血中に気泡が入りこんでしまって、頬や身体全体に広がってしまいます。膨らみはするけど、これほどまでではないですね」。
宇宙空間を漂うクイルの顔は急速冷凍していったが、「これは起こり得ません」とハドフィールド。いわく、「顔には水分が残ってないだろうから、即座に凍ることはない」という。「熱質量も大きいので、冷凍室に大きなロースト肉を放ることに近いです。すぐには冷凍せず、時間がかかります。大半は体内で起こっていて、観客に見せるのは難しいはず。だから顔の膨らみ大袈裟に描いているのでしょう」と考察を交えながら、解説した。
最後にハドフィールドは、「もしこれがグルートに起こっていたら、もっと良かったかもしれない」と別案を提示している。「グルートであれば、宇宙船から出ても、“僕はグルート!”と言えたはずです」。
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