『グレイテスト・ショーマン』米国で異例の“じわじわ”大ヒット!その理由は観客の熱狂的支持

いよいよ日本に上陸する映画『グレイテスト・ショーマン』が、米国にて異例の“じわじわ”大ヒットを見せているという。米Vulture誌が伝えた。
本作は米国で2017年12月20日に公開されるも、『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』(2017)や『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』(4月6日日本公開)といった大ヒット作に囲まれて、いわばスタートダッシュには失敗した格好だった。しかし、そこから観客の絶大なる支持を得て大ヒットに結びついたわけだ。
ヒュー・ジャックマン、ゼンデイヤ、ザック・エフロン、ミシェル・ウィリアムズらを出演者に迎えた『グレイテスト・ショーマン』の見どころを、息の長いヒットの理由から探っていくことにしよう。

大ヒットの決め手は「作品を信じること」
『グレイテスト・ショーマン』は、『レ・ミゼラブル』(2012)以来のミュージカル出演となるヒュー・ジャックマンが、実在する19世紀の興行師P・T・バーナムを演じる物語だ。監督は今回がデビュー作となるマイケル・グレイシー、脚本はジェニー・ビックスと『美女と野獣』(2017)のビル・コンドンが執筆。劇中曲の作詞は『ラ・ラ・ランド』(2017)のベンジ・パセック&ジャスティン・ポールが担当した。
ところが、豪華キャストと注目のスタッフによるコラボレーションにもかかわらず、本作は当初、批評家からの厳しい評価を受けた。辛口で知られるレビューサイト、米Rotten Tomatoesでは約半分の批評家が否定的な評価を示して「55%フレッシュ」を記録。現地メディアに掲載された批評も、決して前向きなものではなかったのである。
話題作がひしめくクリスマスの劇場公開、そして批評家からの厳しい声は、結果的に観客を『グレイテスト・ショーマン』のスクリーンから遠ざけることになってしまった。全米3,000館以上での封切りにもかかわらず、公開後3日間の興行収入は880万ドル。20世紀フォックス社の国内配給を担当するクリス・アロンソン氏は「はっきり言って、終わったと思いました。880万という数字は、どう考えても良い滑り出しではなかったんです」と振り返る。
ところがその後、観客の間で思わぬ動きが生じてきた。フォックスによる懸命なプロモーションからは独立する形で、ファンが『グレイテスト・ショーマン』の口コミをSNSで拡散しはじめたのである。しかもヒュー・ジャックマンをはじめとした豪華出演者の歌う楽曲が収録されたサウンドトラックは、ビルボードのアルバム・チャートを少しずつ上っていった。
これに付随するかのように、公開2週目の週末は1,550万ドル、3週目の週末は1,380万ドルと、本作の興行成績は思わぬ粘りを見せるようになる。サウンドトラックはアメリカ・イギリス・オーストラリアのポップチャートで第1位を、iTunesでも75ヶ国で第1位を獲得し、売上記録を評価されて「ゴールドディスク」にも選定された。
さらにキアラ・セトルによる劇中曲“This Is Me”は、第75回ゴールデングローブ賞の最優秀歌曲賞に選ばれたほか、第90回アカデミー賞の主題歌賞にもノミネートされている。
こうした動きは、一度は批評家による酷評ばかりが目立ったRotten Tomatoesにもストレートに表れた。批評家にとっては「55%フレッシュ」だった本作を、観客の89%が肯定的に評価しているのである(2018年2月15日時点)。この数字は2017年の大ヒット作、『スパイダーマン:ホームカミング』や『ワンダーウーマン』などをしのぐものだ。
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