『君の名前で僕を呼んで』ルカ・グァダニーノ監督が『トップガン マーヴェリック』を絶賛

36年の時を経て公開されたスカイアクション映画『トップガン』(1986)の続編『トップガン マーヴェリック』。世界中のファンを熱狂させるだけでなく批評家も唸らせた続編は、あのクエンティン・タランティーノ監督も「とんでもなく凄い映画だった」と大絶賛していたが、その称賛の声に、『君の名前で僕を呼んで』(2017)『サスペリア』(2018)などでメガホンを取ったイタリアの名匠ルカ・グァダニーノも加わっている。

グァダニーノ監督は、2人の青年が体験するひと夏の切ない恋を描いた珠玉作『君の名前で僕を呼んで』など、普遍的なテーマを繊細な視線で捉えた芸術性の高い映画を手がけており、そのラインナップは、莫大な製作費を投入したアクション満載のブロックバスター映画とは対極的だ。しかし、監督は自身の作品とは対照的な『マーヴェリック』には映画業界が手本にするべきものがあると、米Deadlineのインタビューで語っている。
グァダニーノは、すでに定石となったものを何度も繰り返すのは創造上の汚染だが、一方で真新しいものに何度も観客が投資して興奮できるよう、改良の余地があるプロトタイプを作る必要があるとし、その例として『マーヴェリック』を挙げた。
「(『トップガン マーヴェリック』は)ノスタルジーと反復性が非常に深く関わっている映画ですが、“25年後の出来事”という新しさが伴っています。四半世紀を経て続編が登場するというのは、ある意味で非常にスマートかつ知的、そして思慮深いビジネスのやり方です。
なぜなら、トニー・スコット監督のノスタルジックな視点や1986年当時の世界観など、たとえ映画が観客に深いノスタルジーを抱かせたとしても、観客はトム・クルーズ演じるマーヴェリックが青年ではなく、大人の男になった姿に注目するからです。ですから、何らかの驚きや面白さを生み出す方法は必ずあると言えるでしょう。」
グァダニーノ監督は、映画がヒットした数年後に続編を公開するのではなく、『マーヴェリック』が36年という時を経てカムバックしたことで、プロトタイプに目新しさが加わったと称賛。その幅をさらに拡大させるために新しい領域を見つけることが鍵だと論じている。
グァダニーノやタランティーノといった名匠をも唸らせた『トップガン マーヴェリック』は、ついに『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)を追い抜き北米興収で史上6位にランクイン。映画史に新たな1ページを刻んだばかりだ。
Source:Deadline