「マーベル映画ベスト・スタントTOP5」キャプテン・アメリカのスタントマンが選出 ─ 『タイラー・レイク』で監督デビュー、自ら手がけたアクションを語る

Netflix映画『タイラー・レイク -命の奪還-』は、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)のキーパーソンたちによる、MCUとは異なる質感と味わいの作品に仕上がった。主演はソー役のクリス・ヘムズワース、製作は『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)監督のアンソニー&ジョー・ルッソ。そして監督を務めたのは、MCUでキャプテン・アメリカのスタントや、作品全体のスタント・コーディネーターを担当したサム・ハーグレイヴだ。
米ComingSoon.netでは、ハーグレイヴ監督が自選した“マーベル映画で手がけたベスト・スタントTOP5”が発表されている。あのスタントも、このスタントもハーグレイヴが手がけ、あるいは演じたものだったのだ。この機会に、ぜひ過去作品をアクションに注目して見直してみては。
第5位『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』ワカンダ戦

言わずと知れた『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)のクライマックス、ワカンダでヒーローとサノス軍が激突するシーンだ。ハーグレイヴはこのシーンでスタント・コーディネーターを務め、弟のダニエル・ハーグレイヴがキャプテン・アメリカのスタントを担当している。本作でハーグレイヴはセカンド・ユニットの監督も務めており、多くのシーンで「モーションキャプチャーのキャラクターやスタントパーソンたち、多くの友人を演出できた」のが印象に残っているとか。
なかでもハーグレイヴがこのシーンを選んだのは、なによりもそのスケールが圧倒的だったため。実際に撮影を行う3~4週間前からリハーサルが行われたほか、ジョージア州のロケ地には、アフリカにあるワカンダの国土を再現すべく、幅およそ9メートル、全長およそ180メートルの川が作られたそう。「とにかくスケールに魅了されたし、マーベルの忘れられない場面になったことも満足しています」と語っている。
第4位『アベンジャーズ』キャップ、ビルから転落
『アベンジャーズ』(2012)のニューヨーク決戦には、キャプテン・アメリカがビル屋内での戦闘中、チタウリの兵士による銃撃を受け、爆発とともにビルからはじき出される場面がある。キャプテン・アメリカはビルの前に停まっていた自動車の上に落下するが、この落下を演じたのがハーグレイヴだったのだ。本作でハーグレイヴはトーラス・ワールド・スタント・アワードの2部門を受賞している。このシーンが選ばれたのは、撮影前のとあるエピソードが記憶に残っているからだった。
「何度もリハーサルしました。スタントチームは素晴らしくて、非常に正確だし、きちんと計算して正しく準備してくれました。だけどセットに立って、後ろを振り返ったら、“うーん、なんか違うな”と。それが何かはわからなかったんですが、直感があったので、“車を60センチ近づけてもらえませんか?”と言いました。“それだと計算と違うよ”と言われたので、“なぜかは言えないけど、車を近づけたほうがいい気がする”と伝えたんです。[中略]それで車を動かしてもらったんですが、結果的には、それが安全のために必要だったんですよね。そう頼んでいなければ、どうなっていたのか分からない。とにかく、個人的な判断があって、動かして、それで成功したんです。」
ハーグレイヴは、これまでスタントを演じてきたなかで「科学を信じ、数学を信じるんですが、結局はそこに自分の直感を混ぜ込む、そういう瞬間が何度もありました」と語っている。「だって、自分の身体は嘘をつかないから」。ハーグレイヴは『アベンジャーズ』でこのスタントを演じた際に、“安全のためなら、自分の直感も、他人の直感も柔軟に取り入れるべき”という教訓を得たのだという。
第3位『ウルヴァリン: X-MEN ZERO』ローガンvsビクター

こちらはMCUではなく、20世紀フォックス製作『X-MEN』シリーズのひとつ『ウルヴァリン: X-MEN ZERO』(2009)。「カウントしても大丈夫?」とのコメントとともに選んだのは、ローガンがビクターに初めて勝負を挑むも、まったく歯が立たない“対決シーン”だ。この場面が選ばれたのは、実はきわめてパーソナルな理由。「僕にとって初めてのスーパーヒーロー映画だったし、親友のひとり、ダニエル・スティーヴンスと出会った作品だから」だという。ハーグレイヴをもって「相手をこんなに信用できたスタントはなかった」と言わしめるほどで、二人は本作をきっかけに意気投合。ハーグレイヴは初めての長編監督作品となった『タイラー・レイク』で、ダニエルをスタンド・コーディネーターに起用している。
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